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【忍たま】短編集 【R18】

第2章 the last rain(鉢屋三郎)


学園長からの依頼を雷蔵とこなし、再び忍術学園を訪れたのはそれから二ヶ月後のことだった。

今日の空は機嫌が悪いらしい。
雨が弱々しく降っている。

雷蔵は俺も一緒に学園に行くと言うと、不思議そうな顔をしていた。
ちなみに椿のことは話していない。


「雷蔵、先に学園長のところへ行っていてくれ。」

「え?三郎は?」

「ちょっと野暮用。」


雷蔵の止める声を背に受けながら、俺はあいつを探しに行った。

いつものように椿は食堂にいた。
俺を見つけると、嬉しそうに駆け寄ってくる。


「三郎!待ってたよ。来てくれるって信じてた。」

「ああ、約束しただろ?」

「うん!」

「椿、ちょっと来てくれないか?話がある。」


椿の手を取り向かったのは学園長室。
戸惑う椿をよそに、学園長に声をかけ障子を開ける。

中には学園長とヘムヘム、雷蔵に食堂のおばちゃんもいた。
なぜおばちゃんがいたのか謎だったが、俺にとっては都合がいい。


「三郎?椿さんまで?」


雷蔵の言葉を無視して、椿と並んで座る。


「学園長、食堂のおばちゃん、お話があります。実は……私、鉢屋三郎は椿さんと夫婦になりたいと考えております。」

「はぁ!?」

「あらぁ!そうなの?良かったじゃないですか、学園長先生。」


雷蔵は心底驚いた顔をして、食堂のおばちゃんは喜んでくれた。
椿はというと、真っ赤な顔をして俺を見ている。


「おぉ!そうか!いやー良かった。丁度食堂のおばちゃんとその話をしていたとこじゃった。椿君に縁談を持ちかけなくて済んだわい。」

「ええ、椿ちゃんにいい話があったのだけど、三郎君がいるならそっちの方がいいわよね。」


「ちょっと二人とも!私に内緒でそんなこと話し合ってたんですか!?」

「ちょっと三郎!僕はその話聞いてないよ!心配してたのに報告しろよ!」


椿は学園長と食堂のおばちゃんに食って掛かっている。
俺は雷蔵に詫びを入れた。



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