第2章 the last rain(鉢屋三郎)
もしも椿が先輩を信じ待ち続けていたとしたら、彼女は心にも消せない傷を負っていたかもしれない。
その震える背中を包むように抱く。
人に見せることが怖かっただろう。捨てられることが怖かっただろう。
「俺はやっぱり…椿が欲しいんだ。お前の過去もこの傷も、全部含めてお前が欲しい。別れを言いに来たはずなのに、変だよな。」
「三郎君…ありがとう…ありがとう。」
俺の手に彼女の手が添えられる。互いの指が絡み合う。
椿が俺の方を向き、口づけを受け入れる。
彼女の体を押し倒し、白い肌を露にする。
「あまり…見ないで。」
頬を染めて体を隠そうとする。それをほどくように椿の体に印を刻んでいく。
胸の膨らみを弄び、舌を這わせる。
「んっ……ふぅ……ん」
体のラインを撫でる度に椿の体は面白いくらいに反応する。
胸の頂きに噛みつくと一層跳ね上がった。
「んん!」
「なぁ、声出せよ。椿の声が聞きたい。」
「だ、だって…恥ずか、しぃ!あぁ!」
体を撫でる手は下に降りて行き、彼女の秘部へと侵入する。
「さ、三郎君!?」
「何?」
「えっ、いや、そこ…」
椿の言葉は無視した。
僅かに溢れる蜜を絡めとり、彼女の突起を擦る。
「あっ、やぁ…っん、はぁっ……あぁ!」
椿が徐々に乱れていく様を見て、彼女の中へ指を忍ばせる。
そこは簡単には俺を受け入れてはくれなくて、ぎゅうぎゅうに狭いそれを解すように刺激を与え続ける。
片手で器用に自分の衣を解くと、椿が薄目を開けて俺を見つめる。
「椿」
「ぁ…三郎君…」
艶やかなその声色で俺の名を呼ぶ。
白い体に付いた俺の印が目について、もう限界だった。
椿に口づけると俺は自身を彼女の中へ押し込む。
「んん!!つぅ……ああっ!」
椿は苦しそうに顔を歪める。
「ごめん…痛いか?」
「はぁ…んっ……三郎君」
椿が手を広げて俺を求める。
いつだって追いかけるのは俺だけで、彼女は風のように逃げてしまって捕まえられない。
俺では椿を繋ぎ止められなかった。
でも今は椿が俺を求めている。