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【忍たま乱太郎】かぐや姫

第8章 作戦開始


利吉は男の頭上を飛び越え背後を取った。

「あなたに戦う意思はないのか?」

男がしたのは警告だ。去れば追わないという意思が感じられる。話をするために利吉に近づいたのだろう。男は諦めにも似たため息を漏らす。

「俺は大罪を犯した。最早忍術学園とは関わりを持ちたくない。」
「…意味がわからない。」

男は武器を捨て、振り向くと両手を上げた。
すると、建物の影から忍装束の者が数人姿を現した。
彼らにも戦う意思は感じられない。

「投降するよ。兵士たちにも手は出さないでくれ。あの人を止められるならやってみろ。ただ、」

男は山田たちに目をくれる。

「忍術学園が来た以上、ここにいては命はない。逃げた方がいい。これは本当だ。」




出城の南側に回った救出班の土井、留三郎にきり丸としんべぇは、見張りの兵士を気絶させると内部へ侵入する。
正門の騒ぎのお陰でほとんど人影は見られない。
慎重に足を進めると、兵士の姿を見つけ身を隠す。

「外が大変なことになってる!見張りはいい、行くぞ!」

その場にいた兵士に召集命令が掛かったようだ。見張りを立てているあの部屋に椿がいる可能性が高い。
走り去る兵士の姿を確認するとその部屋へ入る。だがそこでの光景に我が目を疑う。

薄暗い部屋の中、力なく横たわる白い人影、椿の姿だった。
両手両足を縄で縛られ、着ているものは襦袢一枚、まるで死装束のようである。

土井は駆け寄り椿の体を抱き起こして呼び掛ける。きり丸、しんべぇも泣きそうな震えた声で必死に椿の名を呼んだ。
留三郎は椿の縛られている縄を切り、手足を解放させる。そこには長時間拘束されていたと見られる血の滲んだ痕がはっきりと残っていた。悔しさで顔が歪む。
すると、僅かに指先が動き椿が目を開けた。

「………先生?みんな?」
「椿さん!!良かった!!」
「とにかく外へ!」

土井が椿を抱えようと力を入れると、彼女は土井にすがるように訴えた。

「待って!土井先生お願い……ここを燃やして!」
「どういうことだ?」
「ここは忍術学園へ攻めこむために父が造らせたの!お願い、燃やして!!学園を守って!!」
「えぇ!?」
「何だって!?」

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