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【忍たま乱太郎】かぐや姫

第8章 作戦開始


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山田は雷蔵、三郎と共に敵城正面に身を潜める。
谷のようになっているこの地形は、周りは全て岩や石のため、隠れる場所は多くない。そういう意味では正面突破には向かない場所である。

「我々は陽動、つまり囮だ。あくまでも敵を誘い出すのが目的。雷蔵、三郎、一番危険なのも陽動班だ。さっきも言ったが、危なくなったら必ず退くこと、いいな。」
「はい!」
「狙撃班が動き出したらそこに合流する。あとは、派手に暴れるぞ。」




半刻の後、正面の門より爆発音、間もなく兵士の怒号が響く。陽動班が姿を現した証拠だ。

利吉、仙蔵はその混乱の中、崖を降り城に接近する。
櫓に登り城内の兵士が出てくるのを見計らう。
陽動班に攻撃が集中する。タイミングを間違えれば怪我人が出る。

「やっぱり数が多い。」
「受けるだけってのは性に合わないんだけどな。」

雷蔵と三郎は言葉を交わす。
城内の兵士を誘き出せれば、救出班と奇襲班が内部で挟み撃ちができる。
できるだけ派手に立ち回り、その存在をアピールした。


十分に陽動班が引き寄せたその時、利吉が崖上の兵助に合図を送る。

兵助はそれを確認すると、導火線に火を付ける。
たちまち飛んで行くのは無数の矢。
狙撃班の役目は敵の戦意を喪失させること。
こちらの人数が少ないので、仕掛け矢によって敵をふるい落とす。

「…よしっ!」

効果はあった。兵士たちは崖より降ってくる矢に遅れを取られ、その足は立ち止まる。
その間に兵助は崖を降りる。

怯んだ兵士に追い討ちをかけるのは、仙蔵の焙烙火矢の雨。
多くの者はその場に尻餅をし、武器は手を離れる。
利吉、仙蔵、合流した陽動班、追い付いた兵助によって兵士たちは追い詰められた。


「!!」

利吉は背後から迫る気配に気がついた。苦無を持って対峙する。忍だった。

「利吉!」

男は利吉と刃を交えながら、忍術学園の面々を一瞥する。
二人が近接したその時、男は小声で利吉に問いかける。

「忍術学園の者か?」
「!?……だとしたら?」

利吉は一度距離を取るが、男はさらに詰め寄る。
交わる刃を払っても男はしつこく食い付く。

「続けたまま聞け。今すぐここを去れ。死にたくなければ、な。」
「それは出来ない。我々はある方を連れ戻しに来た。だが…」

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