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【忍たま乱太郎】かぐや姫

第7章 狙われたのは


月が見守る静かな夜、忍術学園救出組は目的の出城を眼前に見据えていた。
長距離を走り続けたため、皆くたくたに疲れていた。
出城から離れた場所に陣を敷き、しばらくここで休憩を取る。

山田と利吉は六年生を連れ、敵地の偵察に出掛けている。
ふと、動く気配に気付き土井は声をかける。

「どうした乱太郎、眠れないのか?」
「はい、…椿さんのことを思うと…」

乱太郎はまだ彼女のことを気にしていた。不安を和らげるように頭を撫でる。

本当は不安で一杯なのは自分の方だ。
山本シナ先生を始め、他の先生方の証言、椿の所作、彼女を監視していたらしき男たち、そしてこの出城、少しずつ真相に向かうにつれ、心のざわつきは大きくなる。

「大丈夫だ、必ず椿さんを連れて忍術学園へ帰ろう。今は少しでも休んでおきなさい。」

乱太郎は安心したように笑って見せると、きり丸たちの元へ戻っていった。
それを見送ると土井は月を見上げる。
天上のそれは、欠け始めていた。
椿も今、月を見ているだろうか。
彼女が月に向かい、歌を歌っていた姿が思い起こされる。
今なら、彼女が月へ想いを託すのが自分にも理解できる。



やがて山田たちが戻ってきた。

「山田先生。」
「うむ、やはりドクタケやドクササコの者ではなかった。中に椿さんが囚われている可能性は高い。」

「中には忍ではない兵士の姿も見られます。見張りについていたのも兵士でした。」

「乱太郎たちが遭遇したと見られる忍が指揮を取っている模様です。」

「出城の南側は手薄になっています。そこからなら潜入しやすいでしょう。」

「ただ、出城自体はまだ未完成と思われる箇所が多々見受けられます。雑と言うか、手抜きと言うか…」

「火器など武器になるようなものも、見当たりません。攻めるにしても守るにしても、どうするつもりなのか…」

「…万全の体制とは思えません。」

「気になるのはやはり、その立地でしょうね。攻めてくれと言っているようなものです。」

土井は皆からの報告を聞いて疑問が浮かんだ。
それはこの場の誰もが不思議に思う矛盾だ。

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