第3章 歌声
「どうしよう、私食堂のおばちゃんになるのかな?おばちゃん二人だと混乱しちゃうよね?」
乱太郎、きり丸はその場でズッコケた。
「あら、冗談よ。ふふふ。」
少し三郎の気持ちがわかった気がした。
食堂の仕事は楽しいが、やはり大変なものだった。
学園全員分の食事の準備、それに片付けもある。
合間に少しの空き時間はあるが、一日のほとんどは食堂に缶詰めである。
食堂のおばちゃんは椿の働きぶりを喜んでくれた。
「でも休める時に休まなきゃダメ。元気が基本よ。」
そう言われて解放されたランチの片付けの後、外に出て固まった体をうーんと伸ばす。
空は蒼く今日も日射しが暖かい。
散歩してみようかな、昨日土井に案内してもらった忍たまの学舎のほうへ足を運ぶ。ここで皆は立派な忍者になるために勉学に励んでいるんだ。
いいなぁ。
もし生まれた先が違ったら、自分も他の子供と一緒に学校に通えただろうか。
友達を作り、勉強や遊びを共にすることができただろうか。
しかし運命を悔やむわけではない。今は学園長から与えられたこの生活を大事にしようと思う。
そうして歩いていると、地面に這いつくばっている集団を見つける。
「八左ヱ門君?何してるの?」
「あ、椿さん!動かないで!今ミーちゃんを探してて…」
「ミーちゃん?」
猫でも探してるのかな?でもなんで皆地面を見ているの?
疑問に思っていると、突然手をぐっと引かれた。
「こんなとこにいたのか!探したぞ!」
さぁ行こうと問答無用で引っ張るのは小平太。そういえば朝用事があるようなこと言ってた。
「ちょっと!そんなに早く走れな…!」
プチッ
何かを踏んだ音がした。
後ろを見ると泣き叫ぶ八左ヱ門たち。
椿は全く訳がわからないまま、小平太に連れ去られることになった。