第1章 中学
今日は2軍の練習試合があるみたいで
1軍からはテツヤと涼太がそれについていったようだった
これをきっかけにあの二人が仲良くなってくれたらいいな
あたしは体育館に残って1軍の皆様のために忙しく働いてる
ドリンク作って、筋トレのタイム測って、プレイヤーから渡された練習着の洗濯して・・・
さつきは偵察に行ってるみたいだから今日は一人だ
一人でこれだけの仕事をやるのは結構辛いものがある
早く帰って来てよ、さつきー
そうは言ってももうしばらくは帰ってこないだろう
夏に戦うすべての中学校の情報を手に入れなくてはならないのだから
「さつきはすごいよなー・・・」
帝光中学が強い理由の一つはさつきだと思う
情報を手に入れて、これからどう成長するのかを予想し、対策を立てる
さつきの予想はほぼ外れたことがない
なんでー?なんて聞いても『オンナの勘』で終わってしまう
それならあたしにはオンナの勘がないということなのかな
「もっと、役にたてたらいいんだけど」
さつきみたいに、みんなのために何かやれたらいいのに
「星宮も充分役に立ってるよ。いつも助かってる」
「赤司くん・・・?」
「みんなのために毎日働いてくれてるじゃないか」
「そういうことじゃなくて・・・」
「じゃあ、ヒントをあげよう」
「?」
「星宮にあって、桃井にはないもの、考えてごらん?」
同じものを目指さなくてもいいんだから
そう言って赤司くんは練習の指示を出しに戻っていく
あたしにできることってなんだろう
あたしにしかないことってなんだろう・・・?
なんでも知ってる赤司くんの目には、あたしの何が映っていたのだろう・・・?
「ねえ、大輝・・・」
「おう?」
「さつきになくて、あたしにあるものって何がある?」
「はあっ?」
大輝がちょっと考えて笑った
「よくわかんねー、けど、りんになくて、さつきにあるものだったら「胸とか言ったら殴るから」
「・・・よくわかったな・・・」
こいつに聞いたあたしがバカだった
「もー、いい!!」
「でも、そういうのって人に聞くより自分で見つけたほうがいいと思うぜ、りん自分で気がついてないだけでいいところいっぱいあるんだからよ」
「!!」
じゃー、練習行ってくらぁ、なんて背中を向ける大輝にちょっとだけ感謝した
ちょっとだけ