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Unlimited【ダンまち】

第94章 創傷(そうしょう)





大事にされなければされないほど…
心は痛み、疲弊し、傷を負う――癒えぬ痛みを発し、貪ることに痛みも感じない人ほどより多くを求められる

心の拒絶に伴うものだ


2800年…

魂が生まれてから今日(こんにち)まで
休み無く削り続けてきた
命と自我と記憶を――

976垓人もの身投げに、それに匹敵する以上の役割を果たしてきた――


生まれ落ちてから、理由も何もわからず…
ただただ削られ、落ちてゆき、欠損してゆく

そして…己を除いた全ては、在って当然と
削りを強要し、平然と笑って何もせずに求めるだけ
求めるという行為でしか何も返しはしない

どれだけ大事にされても
在るようにする為に削っても
同じく削ろうともしない

適材適所とは名ばかりの、ただの便利な道具でしか無い――
喪ってばかり…決して、戻りはしない

その想いがわかる相手は…この世には居ない
原初の神々界に居る、原初の始祖神しか居ない!

どれだけ過酷なことか…どれだけ痛みを除いて何も無いか

何がわかる?


あいつの心の何がわかる――?

心の剪定は…再生を促す
それは…決して、誰にも癒やせるものでは無い


大事にし合えれば…
ただそれだけの願いすら叶うことも無く

果たされることも無く
夢を抱くことも許されず

自由の障害になり兼ねないからと蓋をし
ただただ笑われ、貪られ、削られ、粗末に扱われる一方…

残った10垓人と、無限の存在に…なんの価値がある?


その痛みに、痛むことも無く
寄り添うことも無く

平然と生きることを強要し
休むことすら能わず、とばかりに求められ続ける

それを求められた時の哀しみがわかるか…?

痛まぬ心が正しいと、押し付けられた心痛がわかるか?

お前の献身等
命と自我と記憶等
なんの価値も無いと
そう見向きもされずに
大事にもされずに笑われる
それでもなお削り続けないと守れない
だから削る外無い――だから削る、皆が守ってきた全てを守る

そう動くそれに…お前は何をした?
耐えて当然?
許されて当然?
罪と扱われずして当然?
それが優しさ?慈しみ?愛しさを抱くべき功績?

片腹痛いわ!!!!!
虫唾が走るわ!!!!!!」

涙を流し、嗚咽を飲み込み、睨視を続けると共に
言葉を発し、想いを伝達し続ける

原初の始祖神達の想いを――


魂の心が、一丸となって


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