第94章 創傷(そうしょう)
ケイト「?なんか騒がしいな
精霊さん達が騒いでる」
そう塀をよじ登ると
ケイト「!!?
誰だこんな酷いことした奴は!!
ちゃんと直せよ!!
大丈夫か!!?
根もこんなに傷付いて!
他は大丈夫か!?なんも無いか!!?
ごめんな、こんな大変なことになってるのに気付かなかった
ごめんな
(なでなで)
地面も痛かったろうに
ごめんな」
なでなで、さすさす
申し訳無さそうな顔で接するそれに…
いつものケイトだ
そう安堵し、溜息を零した
誰がケイトの身体を乗っ取った?
そんな疑問が浮かぶ中…
変わらず、再び眠たそうに
目をシパシパ瞬きをし、ふらふらとし出す
フィン「眠たそうだね」
そんな風に捉える
あの膜は魂の膜
それに連られて
なにか…別の何かが起きている?
そんな疑念に駆られていた
首輪は生命維持装置のようなもの…らしい
隊長の正式名称は
白の国直属(ちょくぞく)
白神星(ほくしんせい)イヨラダ筆頭
第8638765代、護衛部隊隊長
一億年続くので、その代らしい
隊長となる方によっては、たった一代で千年以上勤める方もいるのだとか…
ケイト「一代11.5757287065917年だぞ?
平均;」
隊長「父から受け継いで族長となった
もう成人している
また息子にでも代を継がせるつもりだ
別の部隊の話だ
千年以上勤める方の件は」
防御機構のようなもの
白いボコボコ?光の膜のようなもの
その際、自我が乗っ取られてしまうのだと…
隊長「防護液だ
赤ん坊がよだれを多く垂らすだろう?
あれは菌を体内に入れない為のものだ
液体呼吸が出来る漿液のようなもので、防衛機構を司る存在が一時的に身体の主導権を得ただけに過ぎない
だから身体は熱を強く発するし
菌に対して保護する為に」
ボコボコボコボコ
ケイト「やめて、待って!
恐い!恐い!!恐い!!!
自分が自分で無くなるみたいで恐い!!」
僕へ縋り付き
助けて!と泣き叫ぶそれに
咄嗟に受け止めて、背を撫でて擦った
ボコボコ「守ろうとしてなの
恐がらせてしまって、ごめんね」
その申し訳無さそうな声に…
ケイトはハッとした顔で答えた
ケイト「こちらこそ…ごめんね
守ろうとしてくれてるのに、恐がっちゃって
ごめんね…
好きにしていいよ」手を差し伸べる