第94章 創傷(そうしょう)
ヴェールのような何かが纏わりついているように感じる…
…………
フィン「つまり嫁入り?」
ケイト「!!?//」ぼおんっ!!
おろおろあわあわと一頻り身体を揺らした後
行き場の無い手をあちこちへ向けた後
最後に布団にくるまって見えなくなった
ケイトの最初の言葉に対してのそれで…可愛らしくて笑った
9月25日、寝る前のことだった
命は繋ぎ止めている
とのこと
『命は』――その言葉が、やけに引っ掛かった
それより少し前に、ある異変が起きた
ドックン!!
ケイト「?」
ドックン!!!
突如、全身が強張り
脈打つように振動し…
全身から光が、ある形状へも自ら変えて出てきた
ボコボコボコ
純白の光が泡のように纏わり付いてゆく
それらが徐々に繋がり合ってゆき、膜を形成してゆく
純白の光の膜が全身を覆い尽くしてゆき
全身が熱を発し、総毛立ち、膜に触れようとしても出来ず
止めようと手で動かそうと、摘もうとしても触れられず、侵食されてゆく
意識が何かに乗っ取られるような感覚に陥り、飛びそうになる
眠るように、その場に後ろへ倒れ込み、それを支えようと手を伸ばす
その手を掴む形で、尻餅をつく
ケイト「大丈夫…
大丈夫、だ
大…丈、夫…だ、から……」
そのまま…目を瞑っていた
ケイト「まるでお日様に干した布団を、取り込んだばかりの布団に全身を包まれたような感覚で…
まるでホカホカホヤホヤの羽毛布団で全身を包まれてるような感覚で…
なんだったんだろう
眠たい」
今にもその場で眠りそうなそれに
おぶって運んでいた
ケイト「ごめんね…動けなく、って」
フィン「気にしなくていい
ゆっくり休んで」
ケイト「……あり…が、と」
かくっ
そのまま意識を手放した
一種の防衛本能
それは…
後に、そう呼ばれていた
ケイト?「もうすぐ――
もうすぐで――終わる
全てが―――」目に光が無い
ケイトでは無い
底冷えした、低い声で…
声が聞こえた
フィン「!!」
振り返ると…
全身の力が抜け切ったような
すっかり緩んだ、心地良さそうな顔で
眠りについていた
…………
フィン「……;
はあっ
まったく
とんっ←背負い直す
すたすた
……………なんのことだ?
耳元でした声
支配権が移っていた?