第94章 創傷(そうしょう)
人を痛み思い遣る『正義の心』
人を痛まず思い遣らない「諸悪の心」
それらは…
非や過ちを犯した後の対応、行いで判別出来る
どちらを強く持つか…その配分は、人による
ケイト「軽率だったな…
癌一同程じゃないと思って…
勝手な判断で、間違ってしまった
ごめんな…巻き込んで
本来なら私一人で責任を取るべきはずが、こんなことになって
頭を振る
フィン「違うよ…
悪いのは…自らの非を、非と認められない半グロだ
君からの信頼を笠に着、君を殺し掛けた
奴等は…もう、仁でも人でも無い…
ただの、犯罪者だ
君を…原初の始祖神を殺し掛けた大罪人だ
そして今も…
君は苦しめられ続けている
今は休んでくれ…
あんなもののいる場に触れて、かなりきつかったろう…
君の削りが増すのを強く感じた……
気にせずゆっくり休んでくれ」
ケイト「…うと
…あり…がと、う」
かくん
そのやり取りを最後に、意識を手放した
左鎖骨に痛みを発しているので見ると…
点滴をされていた
横から抱き締められた状態で寝ていた
気付けば…晩になっていた
再び目を閉じると…翌日の朝になっていた
9月18日11:50
ケイト「なんで…!
どうして!(わなわな震え)
失いたくない想い出ばかりが消えて!
忘れたい思い出ばかり残ってゆくんだよ!!
どうして…
なんでっ!自分だけ……!!(ぐしゃっ!!)←前髪を乱暴に両手で掻き上げる
押し付けるな!!!!
そんなに実在化して欲しけりゃてめえでやれよ!!
なんで私だけに押し付けて!笑って!実在化されて当たり前?!
全部全部当たり前?
失って当然?優しくされて当然?もっと寛大に?
ふざけるな!!
ふざけんなよ……!!
なんで失わない口で、笑ってんだよっ…!!
こんな世界!
この世なんか
全部大っ嫌いだ!!
全部!全部…!!大っ嫌いだ!!!
もういやだ!!(頭を振る)
二度と来たくない
戻りたくなんかない
消えれるのなら、死ねるのなら…もうそうして欲しい!!(涙目、頭を振る)
もういやだ…!!」涙
ケイトにとっての死は…
救済であり、大事な人達に会う手段であり…
二度と…何も削られないで済む
少なくとも生者でないから霊体も、霊体の記憶も削って無くなりはしない
そんな見識が、痛切に――伝わってきた