第91章 轉儛(てんぶ)
嬉しそうに言う中
手を離し
それじゃあ早速、と整備に移り出した
机に向き合って作業をする駆動に、机の上に手を組み顔を乗せたままライドは尋ねた
ライド「なあ、全部に対応したものって無いの?」
駆動「無いよ
もしあったらメカニックはお払い箱さ
コースによって、ギアによって、相性のいいものは皆違う
適宜状況に応じて変える必要がある
だから――メカニックなんだ」
ライド「はへえ~すげえんだなあ」目を丸くする
感心したように言うライドに、駆動は眉を顰めた
駆動「そう思うなら君はもう少し勉強してくれ
知らないことが多過ぎる」
小浪「この人←ライドを手で差す
補修を受けてたそうです」
ライド「あ、あははははは^^;」後ろ頭を掻く
駆動「…‥そうか」学年総合筆記試験7位
阿久津「学ぶ範囲は同じはずだが」1位
小浪「そうなんだけど…ね;」1位
ライド「ま…まあ、色々と事情があってさ^^;
俺の家族、じいちゃんだけなんだ
それで色々やらないといけないことがあって
そんで…」
駆動「でも勉強しなくていい理由にはならないだろう」
ライド「はい、済みません;」お辞儀
小浪「そう…大変そうね」
ライド「うん…2人家族なんだ
ヘルパーさんとか色々手続きややることあってさ
怒涛続きで中々出来なかったんだ
じいちゃんは車椅子で自由に歩けないし
最近やっと杖ありで歩けるようになったばっかりでさ」
小浪「それで筆記の授業寝てばっかりだったのね」
ライド「うん
で…
ギアバトルが息抜きになっちゃってて
さっきも言ったけれど!頭が弱いから(気を付け)
もし間違いがあったら教えてくれ(お辞儀)
足引っ張りたくないから」頭を下げたまま真剣な表情で言う
駆動「はあっ
わかった…
そういう事情があるなら仕方無い」
ライド「ありがとう!^^」
阿久津「そうか……
僕も必要があれば教えよう
ただ…レースでは」
ライド「わかってる!!
寝たりなんかはしないよ
したことないし!!」
阿久津「ああ」
駆動「くれぐれも…レース中に眠くなるだなんてことは無いようにね?」
ライド「大丈夫だよ!
俺、どこでだって眠れるから!」
駆動「楽しみ過ぎて眠れなかったとか」
ライド「う;」
小浪「遠足前に眠れないってあるわよね」
ライド「ギクッ!!)う!;」