第91章 轉儛(てんぶ)
保護してもらった後、事情が事情だったから保護申請をしてはどうかと言われた
市民になれば安全は保障されるし
衣食住の保証も無償でしてくれるとのことだった
その経緯で国籍を移して、治療も学費も無料だから受けてはどうかと…
それに俺とじいちゃんは即断即答して頷いた
渡りに船と言うか、その方が助かったから…
その日の内に、俺とじいちゃんは市民カードを貰えた
それを手にハイタッチしている所も写真に撮ってもらえた
コクーンで住居(宿舎)が決まり、寮生活が始まった
バリアフリー形式にしてもらった後…
やることも無く、とぼとぼと一人で商店街を歩いていた
学舎に行くのはいつでもいいと言ってくれてはいた
日中の介護も国付きの介護福祉士がしてくれるとのことで、夜中に起き出すのを心配で見ようとする習慣までは消えてはくれなかった
少しでも力になりたかった
夜の方の介護福祉士はまだもう少し先で時間が掛かるとのことだった
それで気付いたら…
筆記で寝てばっかりになってたんだよなあ…
引き継ぎが出来たのだって、本来なら補修がある日だったし
明日にずらしてもらえたけれど…
遊びたいものもやりたいものも無かったから…
6月11日
いつも通り手伝ったりしている中
じいちゃんがリハビリテーションに行って
その間暇だったのもあってぶらぶら歩いてたら…
街頭で見掛けたテレビに流れていたものが目を引いた
テレビ『数々の罠
それらを限られた速度のマシン!
ギアで切り抜けて、切り拓いてゴールする競技!!
ギアライド!!』
スパイク(四角錘)が跳ねてそれを利用して加速する
沸き立つ観客、熱が燃え上がるレース
それらの光景を見て…決めた
ライド「すっげえ!
すっげえ
すっげえ!!わあああああ
これだ!!俺の生きる道!!」
それから役所へ直行して
適性試験を受けた所、Sランクオーバーだった
Lランク(レジェンド)かそれよりも上だろうとの話だった
そのことから、無償で愛機を作ってもらうことになった
形から始まり、動き方や動かし方
それらの適合から何から何まで全部特注の、自分だけのマシンを――
ライド「俺だけのギア!
行くぜ!!空の彼方まで!!!
ブルーペガサス!!!!」
天まで届け――お母さんと有馬の下にまで!!!!(真剣&微笑)