第91章 轉儛(てんぶ)
そうしてそれぞれ分かれることとなった
ライドが笑って走って、学者の宿舎へ去っていく中
同じく背を向けて去ろうとする阿久津を、小浪が呼び止めた
小浪「さっきはごめんなさい」深々90度お辞儀
阿久津「…何の話かな?」振り返る
小浪「強く言い過ぎたわ…
わかってたの、偶発的なものだって
たまたま起こったことだって…
でも‥…それなのに…感情的になったりして」
阿久津「……それは…どうでもいいことなんかじゃないからだろう?」
小浪「!(瞠目)
そうかもしれない…
けれど…言葉が、悪かったわ」項垂れる
阿久津「僕も同じさ…
ギアバトルは、どうでもいいものなんかじゃない
それで起こった事故も、それでもし…傷付かないはずだった人が傷付いたことも…
全部大事なことなんだ…僕にとっては(真剣)
いや…彼にとっても、同じことなのかもしれないな」微笑←顔を上げて遠くを見る
小浪「!…ライドも」
阿久津「黙って笑ったまま瞑目してから頷く)
‥……
だから…気負う必要は無い
お互い、覚悟した上で起こったことだ
気持ちは受け取っておくよ(微笑し顔を向ける)
これからはお互い、気にしないで欲しい」背を向けて左手を振る
小浪「あ!
……←涙を浮かべながら唇を強く結ぶ
ありがとう!!」微笑し、手を口の横に当てて叫ぶ
阿久津は黙ったまま手をぽっけに入れ、夕焼けを前にして歩いていった
謝罪は受け取った
そう言うかのように……
第3話
チーム結成!
新たな戦い!
再びライドの実況で始まる
6月3日――俺達は飛行機事故で死んだ
コクーンへ行く途中の便
乗り継ぎの、別の国、中間地点の国行きの便で
母方の祖父、母との3人暮らしだったライド
しかし…それまでに父から虐待という憂き目に遭っており、それで7歳の頃に当時齢3つの弟・有馬を亡くしていた
祖母は虐待以前に父母が結婚した数年後に自然に亡くなっており、虐待に巻き込まれてはいない
弟を亡くした3年後
母が虐待からライドを守って、強く抱き締めたまま死に
ライドは無事生き残り、祖父もその時に深く傷付き車椅子での生活を余儀なくされた
それから母が蘇り
無事殺人事件として処理され離婚でき、接近禁止命令も出せたのだが
祖父が軽度の痴呆に掛かり、コクーンへ家族総出で向かっていた所だった