第89章 堆魂の儀(ついこんのぎ)
所詮、「他人事」――「自らが人に強いる分にはよくて、強いられる側になった途端に怒り出す」のだから――――
他人事にしていられないのが…『人』
していられて好きに出来るのが「癌」
という訳だ
その表現は非常にわかりやすく、簡略化されて綺麗にまとめられている為…
教科書にも載り続けることとなった……
それは後に、『原書(げんしょ)』と呼ばれることとなった―――
【自分が人に対してしてきたこと】が〖そのまま返ってきただけ〗
よく【罪】と〖罰〗に関してそう言われるが…
今回のは、そういう類のものを「悪い方向」に突き詰めた結果、「癌」となった
と言われている
それは後に――『カルマの法則』と呼ばれることとなる
今すぐには返ってこずとも
あの世で裁定を受ける際に、魂の位を篩い分ける際に、響くぞと―
『堆魂の儀(ついこんのぎ)』は挽歌祭(エレジア)が始まる7月13日…
7月12日の晩から開始される
オラリオには…かつてのバベルの塔もなく、その名残として迷宮に転移できる塔が建てられていた
その高さはそんなには無く…精々数百メートルいくかいかないか程度だった
天へ灯籠を贈る――
最後の贈り物として――
せめて安らぎを、幸福を、切に祈って―――
切に込めて――――
元の1kmに満たないバベルの塔は跡形も無く全て消し去られていた
ただ――
分店と神殿とケイトの像の周辺のみは全て無事だった
分店や神殿を解体しても闇は発生されなかった
改築しても同様に――
闇は完全に晴れた
その日は祝福に溢れた
全てに幸多からんことを――
オラリオでは、挽歌祭(エレジア)と女神祭という二大祭があり、中でも女神祭は秋の収穫を感謝したお祭りで
当日には数多くの出店が出店し、果物等収穫された作物を食べ歩くことが出来る
順当に行けば10月5~7日に行われる
さて…
それまでの間に何が起こるかが困りものだが……;
今から心配していても仕方ない
先に晩歌祭(エレジア)に間に合わせようと、必死になって動いている
オラリオはすり鉢状の地形だったのだが…
既に全て更地と化して…
いや…それ所か……
何も残らぬ中だった
地質調査のお陰で全ての領土がどこにあるのかが明かされ、それが国境となってそれぞれ誘致している