第86章 紡ぎ
この世を消す
それは、原初の神々が定めたことだった
この世にて霊体等で対策を講じた上で、癌化の影響を抑え込みつつ癌に対しての免疫を身に付けながら、学べて上に上がれるように、癌にならないようにと、原初の神々が力を合わせて、この世を作り上げた
しかし…現実には、この世では想いも通じないから嘘でも何でも罷り通る
バレないようにいくらでも不正でも犯罪でも何でも出来てしまう
心も痛めない輩の方が数多くいるし、それに慣れたものの方が得を見るという、この世以外とは真逆の水準と現実を持った世界になっている
願いは通じなかった――寧ろ、それを逆手に取り、人を見ない悪ばかりが尊重される始末…
自らの好き勝手にするのは自由だ
だが、人に掛かる迷惑や負担も考えず、人を見ずに押し付けるな
という話なのに…
それらさえも無視される一方…
更には、身をどれだけ削ろうとも、在ることが当たり前とばかりに、迷惑や負担も考えず押し付けて好き勝手するばかり
負担も増やし、迷惑もかえりみず、やりたい放題にするばかりで、いつまでも在って当たり前と押し付けるばかり、何もなりはしない
人の生かしたいという願い、思い遣ろうとする想い、尊重しようとする良心、それら原初の神々が抱く全てを、蔑ろにするばかり…
それをいつまでも与えられ続けることが当然のように在る、それこそが…この世が癌化した証明に外ならないのだという
この世は、始末に終えないもの、存在となった…なので消す
この世が、癌として完成する
その間際にある
ので、消す
そして…二度と、この世は作らない
それが…原初の神々が出した結論だ
2代目原初の始祖神、全ての元凶である癌…1兆5000億年ごとに生まれるそれに備えて、という訳だ
また同じことになるのは目に見えている為、というのもある
と、いう訳で…
納得いただけたかな?
霊体があったとしても、2代目原初の始祖神と初代原初の始祖神が力を合わせても、原初の神々全てと次世代原初の神々全てが力を合わせても、この世は癌化する
それほどの影響を、癌化を、ベル・クラネルは及ぼす
ベル・クラネルごと消しても残るほどの癌化を――
ベル・クラネル以外の生まれついての癌は全て、『控え』に載っているもののみだ
そしてまた――1兆5000億年後にまた生まれるのだから…