第86章 紡ぎ
ケイト「誰も死なさないし、消させない
『無理だ――』
わかってる
それでも――!
『無理だ――』
わかってる(ぎりっ)
どんなに、頑張っても…どうにもならないことも…
闇を生み出す根源を、本人自身がどうにか出来なければ…何にもならないんだということも……
わかってる…
全部…わかってるんだよ
わかってるんだ!(ぎぎぎっ!)←拳を強く握り締める
それでも……何もしないで…見送るなんて…出来る訳ねえだろっっ」
双眸から涙を止め処なく零す
その想い、心は――創世神も、創世神の親も、全く同じだったという―――
ウリエル「私は――主(あるじ)の守護天使、ウリエル」
ケイト&アイズ『主?』首傾げ
ウリエル「主とは――創世神様の御心を指す
それすなわちケイト、その御身だ
そして――癌とは、神に仇成す反逆者、怨敵
主(あるじ)――
あなたは、救いたいかもしれない…
だが……親である、創世神様の親を、平然と殺した大罪人である魂には…消滅以外の末路等、ありえないのです
あり得ないのです
どうか――心を強く持って下さい
これは――この世は――処刑を受けるべき癌であるかどうかを見定める為の、仮初めの実験場でしか無いのですから
本来ならば――世界全体にまで及び、神界であれ何であれ取り替えねばなりませんでした
あなた様のお陰で、この世のみに波紋を留めていられるのです…
どうか…哀しまないで下さい
心を痛めないよう、どうか、平に、お願い致します。
と同時に、感謝を申し上げます。
2代目様…あなたのお陰で、今代の原初の始祖神様の心は潤っております。
注視なさって下さい。
見誤らないで下さい…大事にすべきものを…大事にするべきものを……
親殺しの大罪を己が身に刻んだ魂には――更生の余地等あり得ません
それこそが癌たる証なのです
どうか――お願い致します」
ケイト「っっっぅ
(ぎゅうううううううう)←ウリエルを抱き締める
………ありがとう」ぽつり←涙が双眸から落ちる
ウリエル「ご理解を頂き、誠に、感謝に堪えません。
あなたが心を痛める必要はありません…
それをどうか――忘れないで下さい
御身に仕ります…我が主(あるじ)……
全ての創世主(そうせいしゅ)よ―――」片膝を付いて頭を垂れる
どんっ!!!!←見開き