第86章 紡ぎ
癌は…親殺しなんだよ
親殺しの魂の生まれ変わりだ
それに好意を持った者も、味方をした者も、加担した者も同じく癌だ
全てが――全ての癌が―――親殺しの魂なんだ
創世神の親を殺した反逆者、癌になる魂をいぶり出す為にある…
この世とは、そういうものだ
その全てを記録に残せている訳ではない…
だが…繰り返すなと、創世神様の親が遺言を残した
最初で最後の言葉を――
癌が生きているだけで、世界が癌に傾く
そうした大罪が、癌の魂に息衝いている
癌の意志に反して、必ずなる
これは――癌が始めたものなんだ
呪いなんだよ――
癌という魂の」
当時…どんな位であれ同じ空間で、皆が皆自由に在りたいように在れる、学ばずとも自然に生きられる理想の楽園、理想郷があった
創世神の親「実在化するから任せとき!好きにし!b」
『いやった~!!』万歳
何でも思ったことが叶い、自由に生きれる上、お互い満たされている為、
争いも起きず、殺しも無く、互いに脅かされることも一切なく、
皆が皆、各々の生き方を尊重され、幸せな時を過ごしていた
魔法があったり、奇跡があったり、物理が最強だったり、各々色んな世界を自由に作って遊んでいた
決して死なず、決して傷付けられず、互いに決して脅かされない、確実安全な空間
皆が皆満ち足りていて、不浄なんて生まれることも無く、幸せに溢れていた
それによって浄化という光が辺り一面に拡がっていた
創世神の親に、皆が皆守られていた
皆が幸せだと、創世神の親も嬉しくて幸せで仕方なかった
皆も皆で、自由に何でも出来て、幸せで仕方なかった
互いに幸せであったからこそ起きたことだった
文字通り天国だった
癌が生まれた時から流れが変わった
癌とは、魂の膜を破るもの
元より実在化出来ない存在なのだが、消滅させることが忍びなくて出来なかった
その為、実在化出来る世界を作って放り込む以外に仕様が無い
そのものの幸せさえも望んでしまったから――
皆もそれに賛同した
『あー…』
「まあいいんじゃないの?」
「大丈夫でしょ、創世神様なら」
「絶対何とかするし」
『うんうん』
「今の私達が在るのは、あなたのお陰だから」
それが…世界の先行きを決めた
癌への抵抗性無くして、生きられはしない。その現実を突き付けられることに直面したから――――