第86章 紡ぎ
フィン「待て」
『?』
フィン「待って…くれ…
つまり…
←顎に当てていた手を、震わせながら口元に当てる
創世神の、親とは…」
ケイト「創世神の親…
それは……
創世神の、親は………
創世神の親と…私は……
同じ存在なんだ
原初の始祖神と、創世神の親は…
同じ…本質と、存在…同じ心を持ち合わせている
死なせたくない…消えて欲しくない…
同じ想いを有していた
創世神の親は…創世神をひとりで完璧に作ってくれた、癌に決してならない存在として作ってくれた
そして――自分と同じ存在を作っていた
原初の神々とは――創世神の親と同一の存在であり、2代目なんだ」
フィン「つまり……癌への抵抗性を持たない?
ではなく……」
アイズ「全くの同じ存在、ということ?」
ケイト「………」
原初の神々&ウリエル&ケイト『そう』頷く
ケイト「癌の抵抗性を持つものであったとしても…消える…
それぐらいに、事態は…深刻化していた
それに伴って起こったのが……癌の開花」
フィン「本来ならば実在出来ない癌であれ生きられる世界、それを癌にしてしまったんだったね
確か」
アイズ「うん」こっくり
ケイト「その通りだ
でも…
癌に絶対にならなくても…許容量はある
耐え切れない次元のそれに、成す術も無く――消える定めだと即座に時空神の力で見抜き、即座に作り出してくれた
生み出してくれた…
私を――創世神である皆を―――全ての力と全ての想いを込めて…自らの魂の内に、創世神を埋めて、覆い被さるようにして……
ひとり…生き残った」
フィン「そして…今がある、と」
アイズ「偶然…じゃないよね?」
ケイト「ああ…
多分…意図して生んだんだと思う
引き継ぎなんて――してる間なんて無かった
ほんの一瞬、瞬きの間すら無かったように思う」
ウリエル「2代目であっても、どうであっても…変わりませんよ
あなたが…尊いということも
癌が、創世神の親を殺した怨敵であるという事実も
どんな癌であれ実在出来る空間、広大な世界を作った
しかし…その世界ごと、癌は、癌とした
世界の膜を破ったそれは…全ての世界、魂を闇に包み込み、全ての膜を破り、全てを消失させた
生き残ったのは――創世神様の親が、癌に決してならないようにと願い、生み出した…創世神様のみだ