第86章 紡ぎ
癌が…
魂の膜を破るからだ
そして解き放たれた闇が…全ての魂の膜を破るからだ!!
全ての魂に、消滅を齎すから!!消さざるを得ないんだよ!!!」
途中…声色と雰囲気がガラリと変わった…
恐らく、原初の始祖神か…
あるいは…創世神としての頃の人格が出て来たのか……
フィン「なるほど…
仕組みから一掃する訳か」顎に手を当てて考え込む
アイズ「…法律を変えるとかじゃ…出来ない?」
ケイト「無理
所詮守るのは人だ
決定権は人にある
で…全体が、各々で、各々の勝手に、好きにしているだけ
そこに『人を見る心』なんて、在りはしない
育つよりも何よりも、「自分を見、自分の欲(心)を満たすこと」だけだ
『思い遣ってくれる人を見る、思い遣ってくれる人を思い遣る』
互いに思い遣り合い、大事にし合い、互いの幸せの為に動き、互いが満ち、幸せになり、それが繁栄を生む
だが実際(現実)はどうだ?
そんな基本的な部分を育てることも出来ない
それが善だと言われる
如何にして出し抜き、自分を満たすかどうかしか頭には無い
互いを幸せにするよりも、自分を幸せにすることだけ考えて好き勝手しているような人間が、どうやって浄化を拡めると言うんだ!!」真剣睨視
瞳が慟哭しているかのように見開き、真っ黒に染まる
うん、本当にその通りだ
癌が癌となったのは、責任の取り方も学ばずに育ったからだと…甘やかされ過ぎた結果だとも思ったが……
浅はかだったのは…僕もだったのかな?
自問自答の中…否と答えが出た
フィン「白アリ…か」ぽつり←4605ページ参照
アイズ「頷)その在り方を選んだ人が…癌」
ケイト「世界を家だとすると…
壁やそういった部分は世界の枠組み、原初の神々が綺麗にしたり補修したりで補ってもらってる
大黒柱の役割をしているのが、原初の始祖神であり…全ての動力源であり、実在化の源なんだよ
それを殺したのが…「癌」なんだ」俯
フィン「!」瞠目←目をケイトに向ける
アイズ「え?」
表情は暗く沈み、剣吞とした空気を纏っていた
それを切り裂くように光が射して現われた
ウリエル「神託者
愛している
どうか――無理をするな
お前しか出来ない。お前の代わりは誰にもなれないのだから――」
ケイト「それはお前だって同じだろうが!」むすっ!←一字一句強調して叫ぶ