第86章 紡ぎ
~おまけ・実験~
始祖神となって閉じ込められてから千年後…
我慢の限界が来て泣き崩れ、何とか出れないかとあれこれ試行錯誤していた頃…
創世神の膜の中に原初の始祖神ではない始祖神の皆が入って頑張った結果…
でろでろりー
原初の始祖神「いやああああああ!!!
溶け掛けてる!!!?」
半泣きになりながら、必死に皆を治したそうだ――
どんな方法であれ…何であれ…始祖神の代わりはつとまらなかった
世継ぎが生まれてくるまで待つという選択しか取れず、出る由も無かったという――
1兆5000億年後まで、それは続いた…
~おまけ・了~
何とか泣き止みながらもしゃっくりを未だに上げ続けているケイトの背を…アイズは頻りに寄り添い、撫で続けていた
なるほど…
つまり…本来なら、世界ごと不浄が蔓延していたことで消えていたはずだった
それをケイトが生まれてきたことで実在化の力が4倍となって、この世のみに不浄を押し留めることに成功した
つまり…この世界、この世で言う所の…
縁の下の力持ち
大黒柱
骨組みを支え、三次元に引き上げてくれている存在という訳か…
無くなれば全てが費えると言うのは――文字通りそのまま押し潰される…
全部終わるということだ
ケイト「どれだけ癌が居なくなったとしても
私が実在化の力を4倍にしても
人の本質は変わらない
癌に感化されて、加担した人の本質は、癌のまま
汚染を拡げる中身のまんま
どうにもこうにも仕様が無いの
力をどんだけ働きかけようが本人次第なんだもの!
闇の大元は人間
奴がいる限り、新たな闇を生み出し続ける
人間以外は…闇を一つとして生み出してはおらん
当然だ
人間以外は…浄化装置なのだから」
『!!』
ケイト「それを…人間達は、自らの勝手で欲のままに蝕み、追いやり、不浄の地とし、後片付けもせず、他者に押し付け、蔑ろにし、嗤(わら)う
汚染の根源
それを実在化させるだけで、どれほどの労力が要ると思う?
どれほど――始祖神の魂を削らせたと思う?
それも――原初の…創世神様の
大罪を犯し、好き勝手に判断し、やりたい放題にし、汚染を拡げるだけ拡げて、実在化させる為の手続きも労力も全て一人のみに着せるやり方
それが――癌を生み出しやすい環境、温床の源となっている