第86章 紡ぎ
ケイト「大丈夫か?
どうした?何があった?」肩を掴んで心配そうに覗き込む
アイズ「ううん…もう、大丈夫だから^^」にっこり
ケイト「そうか…無理、するなよ?」
アイズ「うん」微笑
大丈夫…
今はもう…向き合ってくれる人が、大事に慮ってくれる人が、すぐ傍に居るから……
ケイト「いくらたかっても平気でいられる人とは距離を置けよ?
そんな奴を大事に想って自分を削ることに慣れてみろ
一生ヒモ男の奴隷になっちまう」心配そうに冷や汗混じりに目を覗き込む
アイズ「大丈夫…気を付けるから!(ぐっ!)
ふふっ^^
ケイト「ほんとかあ?;←じと目
心配だから見張ってる」むー
アイズ「くす)…
ありがとう…←目を細めて嬉しそうに微笑する
私も見張るね?
ケイト「よろしくお願いします!」90度お辞儀
アイズ「ふふ^^」くすくす
ケイト「あははは^^」くすくす
アイズ「騙されて、良かった」
ケイト「え?」
アイズ「ケイトに…助けてもらえたから^^
私の英雄に…出会えたから…
嬉しい…
今までのどの時よりも、ううん…どこの誰よりも、幸せ^^//
大好き」ぎゅうっ!!←瞑目し身を埋めるように抱き締める
ケイト「私も…お前が大好きだ、アイズ^^」ぎゅうっ!!←抱き返す
癌のことは…もう、何も思い出せない
温かな思い出は残るらしい
でも…驚くほど、何も無い
感覚を麻痺させられて、削ることに慣れさせて、罪悪感も感じずに遠慮もせずたかる
出会い頭に向けた善意、それを当たり前のように貪り食う
癌は貪り食うばかりで、癌から何も渡されたことは無い
あるとしたら――愛想の良さだけ
人に削らせることに慣れていて、自分を削らない
自分のやりたいことだけに熱心で、私達の方を一切向かない
私達の為にやりたいという想いは、一欠片さえも無い
それに深く傷付いたことも、よく覚えている
蔑ろにされているのではなく、忙しいだけだと…
私は自ら勝手な言い訳をして、思い込みに拍車を掛けて…
癌に都合のいいように利用されて、搾取を続けられるだけだった……
ケイトが癌を嫌いだと言っていた理由が…私は癌に蔑ろにされていると自覚してからわかった
私を、皆を、大事に想ってくれているからこそ…なんだと
その口には出さない思い遣りが…温かくて、心地よくて、何より…嬉しかった(微笑)
