第86章 紡ぎ
痛みを置いてけぼりにする中…アイズは述懐した
アイズ「私…癌に操られて変になっちゃってた
それを助けてくれたこと、本当に感謝してる
あのままだと…何でなのかもわからないまま、ずっと削られ続けてたと思う
私達ばかりが…
それでも癌は、ずっとやってきた…
一方的な利用と搾取を…勝手な暴走を……
いじめっ子みたい、だったね」
ケイト「だねえ…
知りませんでしたって…
自分達個人のつもりばかりを訴える、ね」
アイズ「それで…与えた傷が癒える訳でもないのに
一向に減らそうとされなくて…まるでそれが、当たり前みたいで……
私だけがおかしいのかなって思ってた」膝を抱え込んで、顔を膝の中に埋める
ケイト「そんなことない!!!」がばっ!!←立ち上がってアイズを見下ろして叫ぶ
アイズ「うん…大丈夫
今は…わかるから(微笑)
ありがとう^^
心配してくれて…
目を覚まさせてくれて…
私…ね……
癌がたかるだけの存在だなんて、思ってもみなかった
癌から蔑ろにされていることにも…
私自身も、私を蔑ろにしていたことにも…気付けなかった
目を覚まさなかったら…多分……
アマゾネス狩りで死んでいった人達みたいに、死ぬまでタダ働きさせられてたと思う
皆が…死ぬ所だった」ぎゅっ!!←膝を抱え込んだまま左腕を右手で震えるほど握り締め、眉間に皺を寄せて底知れない怒りを発する
ケイト「ああ…(すっ)←アイズに歩み寄ってから左隣座る
でも…もう消えた
大丈夫だ(微笑)
この世の消滅だって…誰かが頑張れば汚染が止まる訳じゃない
全員が一丸となって取り組まなきゃ、どうにもならない
でも…人は、支配できない
在り方や、心までは…」
アイズ「……うん」
ケイト「だから…この世は、消すしかない
人間がいる限り、闇は、歪みは、なくならないから
人間のみを消す、なんて次元では…もう、片付けられない
自分の欲を満たす為に、思い通りにする為に、やりたい放題しておいて、後片付けや後始末は全て人に着せて、迷惑も気持ちも考えず負担を減らそうともしない、見向きもしない、寄り添おうともしない
それが癌なんだ
親の心子知らず
ならぬ…」
アイズ「癌を大事にしてくれる人の心癌知らず
だよね?」
ケイト「あはは^^
アイズもわかってたか」微笑
アイズ「うん……わかるよ^^