第85章 エラー
もしケイトと出会わなければ…フレイヤは、再び癌とミノタウロスの壮絶な一騎打ちを見れた事に満足して終わり
だが…
フレイヤ「ああ、もう興味は無いわ。欠片もね…」
欠片も興味が無いという眼で癌を見る姿、
そして変神魔法によりそれが、神意(本心)であることがわかった。
あのままでは、きっと…
私は…癌を許さなかった。
許せず、殺し、命を狙い続けるハイエナへ成り下がっていたことでしょう…
私さえも、人へ戻してくれた。狂信者のまま……
シルの姿を捨て、女神、フレイヤへと戻ってくる手助けを…
ケイトはしてくれた。
オーズとなり、赦し、どんな姿でも変わらず受け入れ、愛し、慈しんでくれた。
シルの時でも、フレイヤの時でも…変わらず、大事にしてくれた。
だから…私も、共に居れた。
シルの真似をさせられた時も…気にせず、厭わず、笑い掛けてくれた。
神となって、知っているはずの事実を、誰にもばらすことも無く……
ケイト「お前の生き方は、お前が決めていいんだ。
人が決めるものじゃない。
誰かに決められるものでもない。
お前は…お前しかいないんだから。
だろ?←微笑み掛ける
^^」
ヘルン「ふふっ………
本当に、ありがとう……‥
私の…いえ、女神の【救世主(メシア)】様」
遠くを見やり、女神としての未来を見据え…彼女は笑った……
別の世界ならば、癌を殺そうとし、きっと殺されていただろう彼女は…こうして生き永らえることとなったのだった……
シル(フレイヤの隠れ蓑)は死んだ…もう、必要のないものだから…
あるのは、そう…
ただの侍従頭としてのヘルンと、主たる女神・フレイヤのみ。
シルへの手紙はヘルンが代行で返事し、ヘルンが死ねば死んだことにするとフレイヤが直々に決めた。
癌の存在による、世界全体に渡る「歪み(ゆがみ)」「ひずみ」
それらは、ケイトという存在によって全て断ち斬られることとなった…
正確には、ケイトの活躍、生き様、乗り越えてきた過去、その全てによって…吞み込まれた。
その時を境にして昇華された――
「一人が英雄であろうとする為(我が儘)」により振り回される「穢された世界」ではなく…
『皆が皆、誰も歪まぬ個である為』に、『本来あるべき姿へと戻された世界』へ―――
テロップ『めでたしめでたし』