第82章 光芒(こうぼう)
コケにされることは覚悟していた
だがここまでコケにされるとは…
いや…それも、残り僅かだ
当主「おい、書類を返してやれ
よいか!?家の結び付き等得られるとは思うなよ?
顔繋ぎも結びも今回限りだ!
わかっておるな?!」
正能「はい、承知してございます」震お辞儀
当主「ふんっ、わかったならとっとと去(い)ね!
清々するわ!!」
侍従から書類が手渡されるも
構わず当主へ頭を下げたままの正能に、シッシッと手で払う
だからと言って顔を上げることも出来ず、まだ蓮を貰えてもいない、動こうともされていない現状から、頭を下げたまま動けずにいた
蓮「お止め下さい!!
あんまりではありませんか!!」
その様子に、血相を変えて叫んで足早に走ってきた
当主「蓮
だが
蓮「これまで育てたのはこの方です!!」
父上に向き合って叫んだ後、正能へ向け走り出した
蓮「大丈夫ですか」
そっ←蓮が正能の左肩に手を添え
正能「大丈夫だ」苦笑し手で制する
ごそごそ←蓮が袂から布を取り出し
そっ、そっ←掛けられた唾を拭う
手で制するそれに構わず、蓮が痛々しい表情を浮かべ布で拭い触れてくる
正能「…ありがとう」微笑
蓮「いえ…」目を伏せ微笑
ぴとっ
正能に引っ付いたまま離れない蓮に、当主は面白くなさそうに舌打ちをした
当主「なんだ…
これでは私がいじめているようではないか!」
当主の嫁「いじめているのですよ」
当主「なにぃ!!?」
当主の嫁「上に立つものとして恥ずかしくない振る舞いを心掛けて下さい」
ちらっ←正能と蓮を、当主の嫁が見やる
当主「む…
あー……(ガシガシ)←そっぽ向き、後ろ頭を掻く
言葉が過ぎた…
済まぬ」
正能「いえ…事実でございますので」
そう頭を下げたままの後、横から蓮が顔を上げるように促す
そのまま目と目が合い、見つめ合う
互いに笑い掛ける中……
当主「相当入れ込んでいるようだな
ごほん」
当主の嫁「……聞こえていませんが」
二人共、互いに目と目を合わせながら赤らみつつ微笑み合う
当主「おおっほん!!!」
「「!!」」びくぅっ!!
当主「相当入れ込んでいるようだな!ごほん!」
正能「あなたが大事に育て、守って下さったお陰です
ありがとうございます(深々お辞儀)
皆様方も、ありがとうございます」深々お辞儀