第82章 光芒(こうぼう)
ケイト「はあっ、はあっ
(意図的に…酸欠になりやすく?
痛みを逃しやすく、してくれたのか?
耐えれるように…耐え抜けるように…
フィンのことだけじゃなく
何を考えて!←瞑目し頭を振る
いや……だが…そう考えれば説明が付く」
ハタと気付き、考えを改めた
男「今の間にゆっくり深呼吸でもしておけ
糞尿垂れ流しのままではいかんだろう?
汗と血も流し、全身を洗って着替えさせておいた」
入り口から見て右側にあるベッド、
その向かい側(左側)に、入り口から近い順に、トイレ、浴室があって
その内の浴室を、彼は親指で指しながら言った
男「褒美として頼み事を一つ聞いてやる
だが先程頼み事をされたばかりだったな
やめて下さいと」
ケイト「!!…あ」震
男「……(すっ)
吸うか?
吸えば頼み事には含めん、知りたかったことも教えてやる」
ケイト「っ~~~(震)
(ギリッ)
吸わせて、下さい…お願いします」
男「よかろう」ふっ
タバコに手を付け、吸って吹き掛けた直後…再び赤い煙が全身へと襲い掛かる
何らかの術式が刻まれているのだと、やっとわかった…
二度目ともなると…脱力感も痛みも倍になる
だが…痛みだけは多少マシだった
あの拷問部屋で痛覚が鈍麻してくれたお陰だろうか…
でも痛いことに変わりは無く、今度こそ微動ださえも出来なくなった
ケイト「~~~~~~~~~~~!!!!!!!!」痙攣
男「上出来だ…よく痛みに耐え抜いた
さて…頼み事だが何がいい?
今度は間違えまい」
ケイト「!
フィンを…
フィンに…手を、出すな」
ジロッ←男が睨視する
ケイト「!
出さないで、下さいっ
お願いします」瞑目震え
男「うむ…まあよかろう
だが…フィンだけでいいのか?」
ぞっ!!
その瞬間、血の気が引いた
ケイト「違う!
違い、ますっ
皆に…手を、出さないで、下さい
お願い、しますっ」
男「ふむ…
それは、フィンも含めた皆か?」
ケイト「はい!!」
男「よかろう」すくっ
徐に椅子から立ち上がり、ベッドの奥の方へ歩いて行った
首輪が壁に連結されているせいで見上げるのにも限界がある中…
辛うじて見えたのは、布団を運ぶ姿だった
ケイト「待っ…て
フィンは…皆は…無事?」
男「ああ、無事だ」
ケイト「ほっ…よかっ、た」