第78章 火の都
リヴェリア「様子は見て回ったぞ」
ケイト「そうか…
やっぱり、あの神殿が怪しいな」
リヴェリア「ああ
だが…妙だ
すぐに案内しようとは言われなかったが」
ケイト「……何かあるな」ぽつり
安穏とした空気から一転
険しい、険吞とした表情で、大神殿を睨み据えていた…
そこにあるのは『天の炎』と呼ばれる原初の火がある
原初、と言っても…下界にとっての原初であって、廃棄神のことを指すのではない
そもそもが本当の原初の神々界にとっての原初の火=廃棄神の火(浄火)ならば、
どれだけ地獄にいたとしても穢れのみしかない世界であったとしても不変で、変わらず浄化を齎し続けることは間違いないだろう
つまりを言うと、だ…神界にいる神が生み出した紛い物の原初の火、天界から初めて降りてきた下界にとっての原初の火、という訳か…だから『天の炎』と呼ばれている
ケイト「ペテン師がいるな…」
リヴェリア「?何がだ?」
ケイト「いや…」
アスフィ「やはり…
穢れていますね」
ケイト「ああ…浄化の力があるのは上澄み程度だろう。
あの様子だと…
何百年か前に一度大爆発でも起こして…」
アスフィ「ええ。
やはり、神の力で見た通りのままかと。
300年ほど前に大爆発、『大炎災』を起こし、魂を薪として燃やし、数多の人へ移し、増殖を続ける『炎人』となっているでしょうね」
ケイト「なーるほど…
『穢れた炎』か
予知で見た通りだな」
ずっと真顔でいる…
そのケイトの緊迫さにあてられてか、神霊達も落ち着かずにいる
フィン「昼までには終わらせる気なんだろう?」
ケイト「ああ。即座に終わらせて帰る…
第一に…
首謀者はきっと、向こうから来るさ。
ここに来る奴が首謀者だ。お前らは隠れててくれ。
………多分…」
『?』
ケイト「私と同じで…闇を抱えている(誰にも救えない闇を」目を細め俯く
フィン「……‥誰でも抱えているものだ…
本人にしか、救えない
本人が、自分で乗り越えるしかない…
癌の境地からも、どんな過去があったとしても、しがらみであったとしても……」
ケイト「ああ…←冷たい目で神殿を睨視し目を閉じる
だな」にっ
いつもの調子に戻り、笑みを浮かべた
それに…
僕等も神霊も、揃って安堵した
一人の男が、音も無く近付いてくる中で…