第78章 火の都
……
フィン「!」
奇妙な違和感に包まれた
と同時に、僕はケイトを抱き寄せ
即座に船首の影へと潜り込んで隠れた
ケイト「フぃ
フィン「しっ」
人差し指を自身の口元にあて、同時にケイトの口を左手で押さえて制止する
と同時に…
幽霊船が現われ
咄嗟に見えた骸骨の影を視界の端で捉え
即座に物陰の奥へ隠れた
決して見つからないよう、注意深く…音も立てないように
そして――
ぺろぺろぺろぺろ
フィン「………;」
舐められている
僕の手を
口元を押さえている手を…;
フィン「……何をしているんだい?^^;」
ケイト「?
舐めたかったから!」キラン!!ふんすっ!!
フィン「うん……言ってる場合じゃないだろう?;」
額を押さえつつ、溜息混じりに呟いたが…再び舐め続けてきた
はははっ
乾いた笑いが浮かぶ中、震えが止まらなかった…
右手の親指が引き攣る程のもの、疼痛を伴うレベルの…
これはまた…一波乱あるかな?
やれやれ…
休む間もなさそうだ
そう思いながら…冷や汗が頬を伝った
骸骨の目が光った時、
視界に入っていたものは操られ、沢山の人が連れ去られていることが判明した
フィン「全く、君は厄介事に巻き込まれる天才だな」じと目
ケイト「巻き込まれたくて巻き込まれてんじゃないよ;」しかめっ面
『ご尤も……;』
ケイト「よし!追い掛けよう!!」
フィン「正気か!!?」
アイシャ「考え直しな!」
ケイト「え?だって助け出さなくちゃでしょ?」
フィン「影響を受けやすい人達はここで待機していてくれ
君は特にその筆頭だろう!!」
ケイト「うぐっ!;」ぐさっ!
フィン「特に、癌の魂にだまくらかされた
ケイト!アイズ!リュー!」
びくっ!!びくっ!!びくうっ!!
呼ばれる順に身を震わせ、挙って気まずそうに僕から顔を逸らされる
フィン「留守番ね?」腰に手を当てて言い張る、じと目
ケイト「ええー;」ぶーぶー
フィン「留守の間、ケイトを頼んだよ
『く・れ・ぐ・れ・も』、よろしく^^」
二人の肩をミシミシと強さを増しながら掴んで、『強く』言った所
こくこくこくこく
と何度も頷かれた
恐怖に震えながら―
アイズ「…ティオナは?」
ティオナ「え?
私は騙されなかったよ?
危なかったけどねー^^♪」