第76章 冒険者依頼(クエスト)、来訪
僕達は、リヴァイアサンと戦った海のど真ん中、そこから南へ移動していた
後処理は…同じく青い戦闘服の衣に身を包んだ者達がするとのこと
携帯での連絡によると、海も元通りに戻ったようだ
まるで何事も無かったかのように平常運転に戻り…
海の中に住まう生物にもまた
活気が戻り、生き生きとした様子が観測されているとのこと
ケイトの神の力の余波を受けて、だろうね…
ジ・オールを使うまでも無かった…
だが、あれは諸刃の剣…
凄まじい爆発的な力を得られる代わり、無限大の力の負荷を体に強いることにもなる
勿論…自身の身を守る力も上がっているはずだが…心配なことに変わりない
南と言ったが…オルガナに甲羅へ乗せられ、任せていたからよくはわからない。
方向感覚も随分と乱されているようにも感じる。
こうして守られてきたのだろう…無理に破る気はないし、下手に介入する気も無い。
それはケイトも同じようで、無理に解明する必要は無いとばかりに微笑み、頷いていた
自分の探求心一つの為だけに、長年の歴史、伝統を破る気はない。覆す気も…
好き勝手に荒らしたくはない。
それで迷惑を被るのは、そこに住まう人々なのだから…
その総意は、覆ることはなかった
オルガナの背の上で、移動中に説明された歴史…
感覚的に深海国の最奥だろうか…
大きな建物、厳重に守られた場に立ち入らんと僕達を背から降ろし、エルが戸を手に掛けた。
開けると…中央に、発光する雫が鎮座していた。
生命体のように揺らぎながら、発光を続け、虹の如く幻想的な現象を常に起こし続けていた。
争いばかりにかまけ、目先のこと、上辺ばかりに振り回される。
そんな野心に、嘆き、涙したのだろう。
僕達をまるで祝福するかのように、光は雪崩れ込み、優しく包み入れ、力を送ってまでくれているのを、力強く感じた。
そこに込められた『想い』も、共に――
想いを同じくするものとして、家族同然に受け入れてくれたのだと…十分伝わってきた。
どうして出来たのかが…よくわかった。
ケイトもまた、同じようで微笑んでいた。
同じく、温かな想いを常に送り続けてくれる光、それに、光を送り込みながら…
幻想的な光景を前に、僕達は口を噤んでいた…
閉口させるばかりの、気高く、強い想いを前にして……