第75章 神器、覚醒
ケイト「何が本題なんだっけ?」
フィン「無責任を美化するな、という話さ
無責任は、人の自由を奪う
命も、未来でさえも…容易く閉ざせてしまう
『自分で自分の行動に責任を取る』
その代わり、『他人に決められるのではなく、自分で決めていい』
それが『自由』だ。
「他人に迷惑をかけていい」という記述は一切ない。
自由は自己責任そのもの。という訳だ…」
ケイト「なるほど、神国じゃ自由が売りだもんね」
リヴェリア「尤もだ…
だが…
一つ懸念しておきたい所があるな」
フィン「ああ、誰しもがなる可能性を秘めている点だね」
アイズ「…恐さの種類が違う」青ざめ
ティオナ「いっぱいいっぱいになっちゃったんだねー」
ケイト「うん、ほんとにね」肩落とす
ティオナ「はあああっ
気付けなかった」
ケイト「私だって…癌の部分がある訳だし
始祖神『ないのと一緒!!』
ケイト「え!!?;」
リヴェリア「どうした?」
『?』
ケイト「原初の魂は…原初の神々が宿れる魂であって、癌の要素が『ないのと一緒』だから宿れるんだって
『そっくりさん』だから!って」
精霊王「自明の理じゃな」
『うんうん』二度頷く
ケイト「え!?;そうなの!!?;」
リヴェリア「違うと言うのか?
そうでなければ、癌に染まらなかった理由に説明がつかない
ただでさえ私達は、あれを好意的に見ていたからな…」
フィン「ああ――冒険に魅せられた
それが、逆手に取る為だとは思いも寄らなかったよ」
リヴェリア「重ねて言うが、本人にその気はない」
アイズ「知ってる…」
ティオナ「だから何とかしたかったんだよね?」
ケイト「そう!;」半泣
精霊王「じゃが無理なもんは無理じゃ」嘆息
ケイト「……」
フィン「どれほど力を付けようと、なんでも思いのままになる訳じゃない
どれほど心の扱いようを身に付けようと、人や神々を纏めることが出来ようと、限度はある
……あれを容認すれば、世界ごと共倒れになる。
下手な思い入れは捨てるんだ。
あれの存在は毒にしかならない」
ケイト「……わかってる…
わかってるんだ……
じゃあ………どこを背負って、何を切り捨てればいい?」
フィン「忘れるんだ
忘れて、さっぱりして
それから考えるんだ。
これは…他をかえりみないで好きにし続けた責任を果たせという話だ」