第75章 神器、覚醒
フィン「君だけの責任ではないだろう…?」
アイズ「……皆…止められなかった」
リヴェリア「いいや、違う。
止めたとして、まず止まらないだろう
止められるものではないから癌だ、そう言ったはずだろう?」
フィン「……ああ」俯
リヴェリア「ならば、お前が責任を感じること自体お門違いだ」
ティオナ「あのさー…
私、ケイトの言いたいこと、何となくわかったんだけどいい?」挙手
ケイト以外『?』
ティオナ「…あのさ、ケイトが言いたいのって…
癌って存在もまた、大事にすべき命で人生だって話でしょ?
で、だから…消えちゃっても、残るものにしたいって言うか…
それで、同じように、無くなって当たり前だって、仕方ないって扱ったら…同じじゃないかってことじゃない?」
ケイト以外『!!』瞠目
ティオナ「…あの…合ってる?」おずおず上目遣い不安気
ケイト「うん…合ってるよ(微笑)
どれだけ言っていっても無駄だって言われても、言うだけ口が腐るだけって言われても
言わずにはいられなかったのは…その記憶も、消されてしまうから……
だから…消えない『(生きた)証』として残すんだ
記憶に残せないなら、歴史に残せないなら、私だけは忘れないように、忘れられないように、教訓として、『指標』を刻むんだ
死んでも、同じ奴は出さないし、出させない
もし仮に出たとしても…聞いてくれた奴だけは、心の中に落とし込んでくれた奴だけは死んでも守る!!!
もう既に…2,3人消されている
癌になった人、染まった人、誘導した人…いずれかは未明。でも、消えたことには変わりない
だから――遺すんだ
何も残せない――痕跡も、歴史も、何もかもを消されてしまうそれを…
自業自得だなんて、笑ってられる立場ではない
そこは…誰しもが同じだろう?」
フィン「……」何か言おうとして口を開けるが、閉じた←言い淀む
言葉が、出なかった――
他人事だったから…
そんな風にいられたのだろうか
笑っている場合じゃない、静観している場合じゃない、傍観していられる立場じゃない
気にしなくていいなんて――仕方ないだなんて、言っていられる場合でも、立場でもない
危機意識が、足りていなかったのは――誰だ?
ははっ…
乾いた笑いが、口から零れ出た
弱ったな――人のことを言えたものではない