第74章 融和
あれを庇えば助長させてしまう…助長させてしまえば…
殺されてしまう、一緒に…
『なんの罪もない無関係な立場の人』が、庇っただけの人達が…本人と、一緒になって暴走した人達と一緒に……
だから…強くも当たった、冷たい言葉だって掛けた
そうしてでもなんとかしたかった……
実の父から、彼の怒りとは『なんの罪もない無関係な立場』にある私と母と姉を好きに発散道具として一方的に利用され、使い潰され続けてきたから…
その側の想いを知るからこそ、ただただ必死になった…
それを一方的な力で押し付けられて、価値観が歪められ、
周囲の価値観との違いに苦しめられ、誰も理解してくれず、知ろうとも聞こうともせず決め付けられ、一方的に痛め付けられ傷付けられるだけ
傷付けようとするもの、それ以外は決して近寄っては来ない…
でもそれでよかった…
いい人ほど、そんなものに、巻き込みたくなんかは無かったから……
その立場を知るからこそ、一方的に押し付けられる痛みを知るからこそ…尚更に必死だった…
でも…もう、やめよう
それをいくら示した所で、教えた所で、無駄にしかならない…
一緒に殺される、その決断を穢す行為だし…
私の行為も、暴走だったのだろうか……
その中身も見ず、自分の感情としか向き合えない人は…どう在っても救えない
救おうとすることさえ…傲慢のように感じた
ちっぽけな人間でしかない…見殺し以外に仕様がない
殺されて、一緒に消されていくのを…黙って見ているのが嫌だった…
救おうだなんて…思うんじゃ、なかったな……
助けようとすることは、悪では『ない』
断じて
助ける為に、他(無関係の罪の無いもの)の不幸をかえりみない、重んじない
犠牲とすることを、犠牲となる側を、重く捉えない
そのことこそが、『悪』だ
それに気付かず、善だと過信し、盲目に全肯定し、染まり、毒され、洗脳され、共に『集団』となって暴走する
責めるものも、怒るものも、自分の信念を貫く邪魔をするもの全て敵とし、悪とし、痛め付け断罪すべき対象としか見ない
『癌』とはそれに尽きる
神でも救えない、だから消される
私が救おうとするのも、また――『傲慢』
だから…殺されなければならない
救おうとした、その罪ごと――
ケイト「痛いかな?
ふふっ^^」
何故か笑えた