第72章 真相
死なせないよう、全力で動く。
後悔しないように、じゃなく…
『死なせたくない人』の力になる為、
『愛する人』を、その人生を、最期まで他の私物に等させず、守り抜く為に。
その為に、全てを捧げる覚悟で挑む。
それこそが…人に尽くすということであり、献身と呼ぶ…
人を尊ぶことにも、尊び合うことにも繋がる…
その人が、その人らしく生きれるよう、尊重することで…尊重し合うことにも……
それこそが『神国の規範』となっている――
話が逸れるが…神国ではコードレスを推進している。
基本、世界樹や大気中の神気を元に自然と繋がっている。
世界樹が皆を繋げ、邪なものから守り、一助となる。
神石もまた同様であり、神の力を存分に、予知から守護に至るまで際限なく、遺憾なく発揮してくれている。
これは携帯だけではなく、ありとあらゆる全ての機器にも言える。
コードやコンセントがあれば、つまずいて転けたり感電したりと、あれこれ問題が発生する。
特に赤子や子供やペット持ちは心配する。
転んだり、ハサミでコンセントやコードにいたずらしたり、コードにカバーをしても噛ったり等々…心配は尽きないことだろう。
更に、ずっといつでも使えるようにしてれば、待機神力も含めれば消費も増えるしかさむ。
ということで…
使用時以外自動オフ機能も付属され、本当に最小限のみとなっている。
人が近付いた時ではなく、使おうとした時『のみ』。
神力が流れ込み、いつでも使用可能、待機状態となる。
だからそもそもコードやコンセントというものが神国にはない。
ホテル、学生寮、寄宿舎に泊まる者達でも、部屋に持ち込んだ時点で「フル充電」かつ「光速ネット」となる。
しかも…それに類する使用料はタダ。税金も無料。
なのもあってか…
「もうここでなきゃ生きられない!」
「居心地が良過ぎて帰れない!どうしてくれるんだ!」
といった訴えが来ている;
更には、「神国市民にならせてくれ!」と殺到する者が非常に多く、後も絶たず
宿泊客でも日帰り客でも「なれるのならば」と運試しでやる人も多く、実際に市民となって家族ごと移住してくることもある。
異空間建築によって、いくらでも住宅を建て放題になって本当によかったと、今になって思う…
それらに伴い――人口は爆発的に上がっていった