第72章 真相
人はいつ…人生が潰えるか等、わからない……
だからこそ…懸命に生きるのだと、教わった…
でも、怖くて仕方なかった。
いつ隣にいる大事な人が、すぐ傍にいる人が、喪うことが…
私は…その痛みを、痛いほどに知ってきた。
幾度も喪って、取り残されて…
苦しんで、泣いて、落ち込んで、前なんて向けなくて…
それでも周りは「当主としての責務」を求めてきた。
頼り等ないまま、ゴールも見えないまま、先を進んで行くしかなかった。
紀元前(前々世)、戦国時代(前世)の経験から、痛いほど知っていた…
でも、もう…これ以上、その痛みは、知りたくないんだ。
だから…自分が一刻でも、一瞬でも、早く死ぬことだけが希望となって、夢となって、離れなかった。
実父へ何か態度を変えれば、実母へ実父が当たる。
お前が吹き込んだんだろ!と暴言と暴力を振りかざし殴る。
必死に止めようと間に入るも、力尽くで敢行され続けた。
実父がいい人という強迫観念が、私を壊した。
八方塞がりな状況が、私を、変えた。
私は――昔から、あの、恐怖で、雁字搦めになっている
私のせいで誰かが傷付けられる恐怖が、
私自身を殺そう、消そう、消えなくちゃ、と必死にさせた。
自分のことを、考えなくなった。
自分の感情も、したいことも、何もかも…全部壊して、壊さなければ―そうでなければ、不安で仕方なかった――怖くて怖くて堪らなかった――
自分のことを全て、他人事ととらえるようになったのは、その頃からだったと思う。
そうすれば…何も望まずに、感じずにいられたから
それが普通だったから…辛さも何もかも、あの時の恐怖に比べれば、マシだったから……
お母さんが…何より、大好きだったから……
そうして、今の私が生まれた――
早く死にさえすれば、私がいることによる負担も減ると信じていた…
早ければ早いほど、思い入れもないから、大丈夫だと……
でも…違うと教わった
新たな、大事な人達から――
ケイトを大事に想っている人は、どうしたらいい?
なら…私はっ!何の為に生まれてきたんだよ!!?
悲痛な叫び、慟哭が胸の内を占めていた。
哀しませる為に、哀しませたいが為に、生きている訳ではない、生まれてきた訳でもない!!
その答えはまだ――出ないままだった――