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Unlimited【ダンまち】

第72章 真相





フィンの、そのすがるような声に、温もりに、私は頷いた。

涙が自然と零れ落ちていった…



今では…その意味が、よくわかる

フィンが言わんとしていることも…


たった一人で(残されて)、これからやっていかなければならない絶望も…



頼むから…

神様…

どうか…


この命を…

魂を…

消さないで――



どちらにも…同じなんだ。
譲れないものがあって、何かがあって、今の形があるんだ。

何もなくて、やる人なんて…それが楽しいって人ぐらいだ。


傷付けて、殺して、おんなじ想いをさせて…そりゃ必要な時だってあるよ?

だからって…だからって!
喪った人になんて、させたくない!増やしたくない!!

殺した人にも、殺させた人にも、させたくない!!


あるとしたら…使うとしたら…!どちらも守る時(為)だけだ!!

命に…人生に…!価値に!重さに!違いがあって堪るか――!!!



「誰も哀しむ人がいない」
ケイト「私が哀しむよ!!

哀しいよ!!」

それこそが――『神聖』たる証、らしい


神様が、私がそういう人だということを、きちんと見て下さっていた。



すっかりと、甘え切ってしまっていた。


皆、同じ…
大事なものはある、誰にでも喪いたくないものはある。

なのに…どうしても、私は…私を大事に思えない。
理屈じゃなく、『心』が、『経験』が、「拒絶」以外の選択肢を許してくれない。

愛しても、どれだけ愛すべき存在だとしても…他より、立たせようとすることが出来ない。


出来るように、ならないといけないのに…

自分のことぐらい…自分を大事にすることぐらい…
でも…私は…


ケイト「それ以上に…

私のせいで…
(前世の父上が死んだ、前々世の友人が庇って死んだ姿が脳裏に浮かぶ)

誰かが、死んだり、傷付くのは、嫌だっ」

瞑目し、頭を振り、滂沱の涙が流れ落ちて行く。

頭から振り払うように振った時、涙が散り、更に溢れては止めどなく…


その頭を、優しく撫で、抱き締め、唇を奪われた。



フィン「僕もだ」目を細め愛しげに見つめ微笑

ケイト「!」はっ!

フィン「僕も、同じ気持ちだ。

君が、君を、大事にしないといけないのは…
君一人だけの問題では無いし、決して済まないからに他ならない。


一人じゃないとは――そういう意味だ」


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