第72章 真相
そうだろう…?
父上、母上…皆…
心を通わし、考え続けてきた時間は――決して、無駄ではなかった。
笑えない時間も多かった。
でもその分だけ、笑えた時間が愛おしくて仕方ないんだ…
死ぬ所も、心の臓が止まる瞬間まで看取ることも、死体が埋められる所も、もう…二度と、見たくない。
だから…自分はどうでもいいから、どうなってもいいから、助けたい。
たとえ望まれなくても…
それで、笑ってもらえたのなら…
それだけで報われる。
もう十分、笑顔(成果)を貰っているから…
だから求めない、お返しを欲しいとは思わない…
それが、この上なく嬉しくて、喜ばしいことなんだ。
それが…私の全部なんだ。
私の、前世も、前々世からも変わらない、誇りに思う気質で、大好きな本懐なんだ。
誰も助けてくれなかった、何もしてくれなかった、なんていう人達になりたくない。って我が儘も確かにあったと思う。
でもそれは…
負けず嫌いな私が、生き残る為に見つけた、見出した道なのだろう…
守る為に、喪わない為に、ブレない為に……
それが…私、なんだ。
全部引っくるめての、私なんだ。
私は…それを、愛している。誇らしく思う(涙目)
守り抜いてみせる、から…
絶対に…
今度(今世)こそ!!(涙)
涙が次々に溢れては止まらず、気付けば口に出していた。
それに嬉しそうに何度も何度もフィンから頷かれ、頭を抱き寄せられ、何度も何度も撫でられた。
任せとけ!
って、2番目に、言ったのになあ…
ごめんな…
誇りに思って、強く、愛して―前に、進まないと――
何故吐き気がするか…
その根幹が垣間見えた……
その根幹は、前世の父上と、繋がっていた
彼(沢田綱吉)の声を聞くだけで、姿を見るだけで、倒れるぐらい酷い吐き気がした。
その理由を理解したくて、線引きをはっきりさせれば済むだろうと、安易に考えていた。
その方が、また人が地獄落ちになることも防ぎやすくなるだろう、と…
だが――違った―――
それは…その吐き気は……
前世の父上が、私の中から…
赦すなと、怒れと、教えてくれていたからだった
人殺しを美徳とされた戦国時代の教訓を、経験を、無駄にするなと、
強く、念じられた証だった…
私の中で、今も生きているという確たる証拠だった――