第72章 真相
私「?????」瞬き
父上「今はわからずともよい。
魂に刻め。決して忘れぬと、忘れまいと。
きっとそれが…お前を守ろう」微笑&なで
初めて、父上から頭を撫でられた瞬間だった…
私「はい!!
生涯、決して、忘れませぬ!//」キラキラ
初めてのそれに、高揚し、
紅葉した頬を、私の笑顔を、父上はさも嬉しそうに笑っていた。
頷き、「ああ」と嬉しそうに、弾んだ声で答えられた。
きっと…父上は、父上の父上から否定されたのだろう。
その生き方を、武士の宿命として…
押し付けられ、抗うことも出来ず、赦されず、さぞ苦しんだことだろう……
私の存在が…私や母上のような、受け入れてくれる存在が…
何よりも、救いであったと…
そう、酒の席で零していたと…
今際の際で、母上が零した…
私は当時、涙が止まらず、止められず…
咽び泣くことしかできなかった……
決して忘れないと、父上と契りを交わしたこの夜を…
母上が打ち明けて下さった今際の瞬間を…
私は決して、忘れることはないだろう…
死んだ後でも…
たとえ…死んで、幾度生まれ変わろうとも……
魂の奥にまで、深々と刻み込んだ。
たった一人で、乳母と侍従と、残された家を守る他ない現実の中、私は誓った。
獰猛な獣と何ら変わらない
そんな社会で、父上だけは異質だった。
鎌倉時代から約400年続く家…その中で唯一、私へ与えてくれた。
その在り方を自ら徹する父上と、それを許してくれる母上でなければ、きっと私は…私ですら在れなかっただろう…
数多の武士から下に見られ、侮蔑される中、
それでも進もうと…貫こうと、出来はしなかっただろう…
私は…誇りに思う。
前世での父上も、同じ道を生き抜いた私も、病の淵で受け入れて下さった母上と、妻と、娘達を!!
「思考を放棄した『獣』」として死ぬのではなく
「思考を続け、最期の最期まで足掻き抜いた『侍』」として死んだことも!
大々的に取り上げられているのは大きな戦だけで、命の取り合いとなる小競り合いは死ぬほどあった。
それは年に数回所の騒ぎではなく、週に一度は必ず呼ばれた。大きな戦も込みで…
上のものに駆り立てられ、気分に振り回され、山ほど死に掛けたし、苦労してきた。
でもその分…大事なものを、学べてきた。
今となってはそう思う…