第72章 真相
優位に物事を進めようとしたこと等、死ぬまで一度としてなかった。
利用だけは死んでも嫌と、
実父のようになるまいと、しっかりと己という譲れぬ軸を持っていた。
ケイトの場合、
人へは見返りも求めずに助けるくせ、助かったそれに心底嬉しそうに笑うくせ、逆にケイトの都合のいい時に利用したくはないとトコトン頼らず、力を求めもしないのだ。
頼りにされていないと、納得がいかず、皆で問い詰めると…
「建前だよ!ぶわぁか!!
本当は……そんな風なことに、時間や、労力を、使われるよりも、さ…
その使うはずだった時間と労力で、やりたいことをやって欲しいんだ。
私へ時間を割くより、私とのそれをするよりも!幸せになって欲しいんだよ。
気疲れするんじゃって逆に気兼ねすんの!(小声)
わかってよ!言われなくても…さ。
何年付き合ってんだよ!
言うの…こっぱずかしいんだよ!//」ふいっ!
わかって欲しい、でもわかって欲しくない恥ずかしい、でもわかって欲しい。
「ぷっ、ふふっ^^//」くすくす←口元を手の甲で押さえながら笑う
「何笑ってんのさ!//」がうっ!←噛むぞと言わんばかりのポーズで威嚇(?)する
(威嚇にもなってないが…
可愛くて堪らない)ぷるぷる
「?」眉顰め
不器用で、ただただ不器用で…
だけど、逆に言ってしまえば憚られるのではと、気が気でない。
気を遣わせたくない、それぐらいなら楽しいことをしてて欲しい、のが本音。
なら、いっそ…
そう考えて、願うことにしていた。
その本音まで読み取れる人は非常に少なかった…
「だが君の傷は
「私の傷なんてどうでもいい!!
もう…修復不可能だ」
とっくの昔に諦めていた…
正確には、諦めなければ、己の利も欲も何もかもを他人事としなければ、
死んでしまっていた……
「あの、ね…」
「ん?」
「……恭弥(フィン)がいるだけで…十分、だよ//」ぽつり&視線逸らし
顔を真っ赤にしながら、
「傷は、もう埋まっている。
痛みも、全て…あなたが包み入れてくれたから…/////」
耳まで真っ赤にしながら、胸元に頬を埋めたまま、
耳を傾けなければ聞こえないほどの小声で、そう伝えてこられた時…
「~~~っ/////」ぷるぷる
ぎゅうっ!!!←有無も言わさず恭弥(フィン)が恵土(ケイト)を腕の中に閉じ込めた