第72章 真相
赦してくれ、とまでは言わない…
憎まれて当然のことを既にしたつもりだ。
赦されないこともした。
だが…もう、ボロボロの君を見たくはないんだ。
翻弄されて、いいように食い物にされて、利用されるだけ利用されて、殺されて…
死んだ後も、何食わぬ顔で何事もなかったかのように笑って、意に介さず、修行せぬまま、笑って堕落した平和を味わい続けるばかり…
無駄死にとなった…抜け殻となった、君を――
君は毎日、必ず、欠かさなかった。
修行しなくてもよくなったとしても…
「神様、主護霊様、ご先祖様、精霊様、お地蔵様…いつもありがとうございます」合掌
生かして下さっていること、事故に巻き込まれずに済んだこと、傷を負わなかったこと、
負ったとしても痛みがすぐにひいたこと、ほぼそれほど時間も置かず治ったこと、
エネルギーを、愛情という聖なるエネルギーを常に送り続けてくれていること…
様々なこと全てに感謝を述べ、そして最後に必ずこう言った…
「どうか…(その労力と時間を使って)幸せになって下さい」
自分の幸せよりも、他の幸せを願う人だった。
産んでくれた神様や、生かしてくれる様々なもの…
それに、少しでも応えたい、報いれる、胸を張れる存在で在りたい。
その清らかな聖なる『一心』さえも…人は容易く、悪く捻じ曲げて置き換える。
目に見えないものが見え、聞こえるから、感じ取れるからこそ、
それらへ目を向け、人の裏や本心を、とげとげという形で感じ取れるが故に…
そういった悪意から、温かく包み込んで守ってくれていた存在達に感謝を述べ愛を捧げ続けていた。
人間はほぼほぼ負ばかりだった…
決して、守る存在でもなければ、助ける存在でもなく…
痛め付ける存在しか寄ってはこなかったから……
君はただ、不器用なだけだった…
助けたとしても、守ったとしても、力になったとしても…
お返しを決して求めなかった。お願いもしなかった。
もし、お願いを聞くぞ、お返ししたい、と言われたとしても…
「やりたいようにさせてもらった、それがお返しだよ。もう十分貰っている^^」と満面の笑みで答えるばかりで…
親密な人にでさえも「どうか幸せになって下さい」と即答されるだけで、決して力を求められなかった。
力を一度として求められないまま、死んでいった…戦国時代の時でも…