第66章 穢れ
助けを求めなければ助けられない世界。
話せない人は、心を壊された人は、いつまでも助けを求められない。言えないから。
言えないほど、心も体も何もかもを個人の都合に合わさせられて殺されてしまったから。
皆は笑う、力を借りて実現しておいて、さも自分達だけ楽しそうに。
邪魔されないのが当然かのように。蚊帳の外にし、邪険に扱い、皆は高らかに笑う。
一人の存在など、極少数のそれ等…気持ちも、何もかもを、無いものとして――
そんな社会の歪みが、自殺を招き、怨念を作り、蝕み、この世ごと滅ぼさんと、消さんとして行く。
人の都合や気持ち、やりたいことも全て考えずに振り回すことができる人。
そんな人達の為の社会ではない、でなければ誰も救われない。
一人でも行こうとした。
が、それは国民全員から支持され、皆の助けを受け、国内だけでも実現されることとなった。
なった、はずだった――
少女(社会のゴミは、ゴミらしく、大人しく消えて?
散々無抵抗や傷付けない行為すら悪にしたのだから、私へのそれらは全て善として何も考えずにやり続けてきたたのだから、ね?
同じように――消えて)
そんな声が、どこからか聞こえてきた。
ケイト(誰かの怨念だろうか……
その心にせめて、救いがありますように…
少しでも、報われますように――)合掌
その祈りは…別の形で叶うこととなる。
最悪の形で――
あの世に行った後、神々から裁断を受ける上において『基準とされる理屈』。
それらを理解しているからこそ、それを学びとして、教育として、法律として、施し戒めることとした。
それが、『神国』と名付けられた所以である。
一柱の神が一人のみにいいことのみ起こるようにすれば世界の均衡、存在そのものが揺らぐ。
他の全てがどう動いても一人の思い通りに事が動くよう神の力で無理に歪められれば、理想を叶える為に努力しなくなり、恵まれ過ぎ、人から与えられる恵みに気付かず胡坐をかき、当たり前となり感謝出来ず、人としても衰退の一途を辿る。
それが神々の見解であり、世界の根幹に深く根付く真実である。
実際、父や数多の人々により守られ成り立つ平和を彼は当たり前とし、手前勝手な正義を人へ押し付けるばかりか経緯も聞かず蔑ろにした為、神々の総意が固まり、魂ごと全ての世から消された。←2539ページ参照
