第66章 穢れ
市民カードとは…家族となる神聖な儀。
魂同士が繋がり合う、想いが言わずとも伝わる、家族となる時だ。
魂の全てを読み取り傍に在り続ける相棒形式←2031,2068ページ参照
それにより、市民カードで通達出来るようにした際、魂の抱く感覚の強さに応じて気持ちが伝わるようになったそうだ。
強く感じれば感じるほど強く通わり、逆に弱ければ弱く通わる。
思いの丈も、重さも、真実かどうかまでさえもそのままに伝わるのだ。
嘘が一切付けないと言っても過言ではない。看過されるのは、相手の為を想っての優しい嘘だけだ。
結果として…たとえ全てを敵に回したとしても、その道を貫く。
それだけは断固として曲げない、譲歩などしない。
その強さが、確固たる決意が、自分達の為だと伝わっていた。
だからこその反応なのだろう。
輪郭がぼんやりとしていたやりたいことが、はっきりと一本化されたことも相まって。
フィン「…自分の為に戦うこと。
それが…ケイトには全く無かった。
自分の為と意識したら、力が入らなくなる。
それが過去あってのものだと、習慣によるものだと、ようやく気付いた。
自分を出すということ、示すこと、意思でも行動でも、全部。その全てを悪とされたから。
ぶつけてしまえば、傷付く可能性がある。
それを恐れて、譲れない部分まで譲歩してしまっていた。
だから…やりたいように立ち入られて、踏みにじられ続けていた。
戦ってまで自分を守ろうとはしてこなかったし、何より周囲全てがそれを許してはくれなかった。
それまで…ケイトが意にそぐわないことをするのは全てダメで、ケイトの意にそぐわないことはいくらでもするばかりだった。そこには守ろうとしてくれる人も、話を聞いてくれる人すらも、まともにいなかった。
でも…今は違う。
自分を大事にしろと、言ってくれる人達がいる。大事にしないことに怒る人が、痛いと泣いてくれる人がいる。←2457~2463,2530,2624~2625ページ参照
だから…戦う覚悟を決めたんだと思う。
我を、譲れない部分でだけでも貫く為に。自分が、自分である為に。
その為に、欠かしてはならない『過程』だったんだと思う。
ぶっちゃけると…知らない人からすれば、何やってるんだっという感じなんだろうけれど。
これでよかったと…僕は思うよ」