第61章 新たなる発展
焼き切れる激情に身を焼かれ咽び泣き叫んだ。
「安心しろ、仇は俺がとる!」
語りかけてくる味方に、泣くことしかできなかった。
止めようとすることも、何もかもが…痛みでしかなかった。
元服したばかりなのだから仕方がない。
そう擁護してくれた。
その後、殺しもできないまま生涯を終えた。
足軽という身分のままで…
父上への殺しすらも美徳と捉えろ。いい人と捉えろ。
殺した後、何事もなかったように笑うのは、安穏と過ごすのは当然だ。
彼をいい人と言うこと…
それは…そう言われているようにしか、聞こえないんだ。
仇がしたのと、全く同じことをしているから。
仇は…殺される側の感情を、心を、命を、罪を、全てを蔑ろにして、笑って過ごしていた。
たとえそれが、殺した後でも!悩まず、悔いすらもせずに!(ギリッ)←歯噛み
何故仇を打たないのか、前世の僕は問いかけた。
「打てないんじゃない。
打たないんだ。そう…決めたから」
遠くを見据えていた。
ケイトはその時から、今と変わらず…あの世に帰った後のことを、考えていた。
「ふふっ^^」
「?」訝し気
当時の僕にはわからなかった。常識が違っていたからね…」
アスフィ「笑って会う為…ですか?」
ケイト「ん」こっくり頷&ぐすん←まだ泣いてる
フィン「彼を擁護する声…
「いい点を見ろよ、それだけじゃないだろうに」
その言葉は…殺された側を配慮しない、手前勝手なものだ。
悲鳴をあげ、苦痛を、辛苦を、憤怒を、憎悪を…全て無視する行為に他ならない。
仇を…己の全てを放棄して好きになれと、蔑ろにしてでもいい人だと言えと…
そう、強要されるに等しいんだ…彼女にとっては」
リュー「……痛々しいですね…なんてむごいことを…」
フィン「戦ではない。
敵味方が殺す気でぶつかり合う戦場も知らない。血で血を洗う場も知らない。
だが彼は…敵に対して、相手への配慮を怠った殺しを、傷付ける言動を取り続けている、疑問も感じず日常生活に戻れば決して変えず変わらずに笑って……
自分のやっていることの意味を、何も考えてはいない。
そしてそれは…父上を殺した仇と、全く同じ言動なんだ。
殺した行いを、いい行いと捉えろ。
そう言われるのと同じ、それ以上にひどい行為だ。
痛みでしかなかったんだ、彼をいい人と言われることは…」
