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Unlimited【ダンまち】

第61章 新たなる発展





頭を撫で、背を撫で…優しく、泣き止むまで傍に居ると、無言で語りかけた。


フィン「やっと…気付いてくれた、か」

ティオナ「フィンはいつから気付いていたの?」

フィン「最初から…だよ。
思考誘導して、自分で気付けるようになるまで…かなり時間がかかってしまったけれどね。

僕としても…他人事ではないし、とても…冷静ではいられなかった」

ティオナ「そっか…」


フィン「自分を…ちゃんと見てくれ。

愛して…共に歩もうとしてやってくれ。
君が…君である為に必要なもの…それは全て、君の中にあるのだから」
ケイト「っ…(涙)

うんっ;」ぽろぽろ

泣きながらケイトは語った。


ケイト「仇がどんなにいい人間でも、関係ないんだよ。

関り合いは、交わった点は、父上への殺しだった。
それが全てなんだ。それしかないんだ。

それに対し、知らないことを声高に訴え、赦せと言われた。


それは…父上との思い出を、情愛を…
殺されて抱く感情全てを捨てろと、強要する行為なんだ。

苦しみでしかないんだ。それを、求められるのは…」


フィン「ケイトは…前世、

殺す機会を与えられた」←2475ページ参照
『!!』

フィン「それでも、殺せなかった。

味方は殺せと喚いた。
敵は…

「こいつはいい奴だ!本当に優しい、いい奴なんだ!」
「黙れ!!」
「どうか赦してやってくれ!心があるなら慈悲を!手心を!」
「前の戦でそのそいつに殺されたのは!俺の竹馬の友だ!!」くわっ!

鍔競り合いし一方の敵を食い止める味方と、もう一人の味方に組み伏せられた仇。


刃を振り上げ、殺そうとした矢先、果てのない苦痛が鮮明に蘇った。
できるはずが…無かったんだ。

その苦痛を、その親類縁者にまで再び与えることに、気付いていた。
そしてまた繰り返すだけだということにも、気付いていた。
まだ決心が固まってない頃で、場であったにも関わらず…

その手を止めた。止めてしまった。


腕が震え、涙が滲み、振り下ろすことすら出来なかった。



そんな己へ、仇は目へ砂を一掴み投げ付け一目散に背を向け逃げた。
まんまと逃げ果せたことに、仇は敵と共に喜ばしく大声で笑い合った。さも滑稽そうに…


己の顔を、自ら左拳で殴り付けた。

「うわあああああああああああっ!!!;」
狂いそうになる感情の奔流と共に…


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