第61章 新たなる発展

フィン「ケイト…最後に伝えておきたいことがある」

ケイト「何？」

フィン「彼を嫌う君の気持ちは、間違いなんかじゃない。


「殺したくない？傷付けたくない？
嘯くのも大概にしろ！

彼がやっているのは寄り添いとは正反対の行為だ。

ただの殺戮だ！感情や、命ですらへの！
彼の言葉はどれも上っ面ばっかりだ！


遊びたい時分なのもわかるけど…それとこれは違うだろ。


光が濃くなれば闇も濃くなる。
「世界ごと全てを壊したいほどの絶望」も知らない人間が言う『希望』が、大きいわけがないだろう！


いくらいい人でもやっていいことと悪いことがあるよ」


と…彼に思う所は、色々あるだろう。言葉では語り尽くせないほどに。



その君の気持ちを、大事にしてくれ。


殺された立場だから、奪われた立場だから…
だから、譲れなくて当然なんだ。

彼を擁護する意見に好感を持てないのは、悪いことじゃない。
それに痛みを感じるのは…君にとっては、普通の反応なんだ。僕にとっても…

奪われた痛みを知るから、流せなくて当然なんだ。



君自身のことを…わかってやって欲しい。

君が君である為に欠かせない、大事なことだから。


大方、いい人だと頑なに言う人が多いのと、魂を見て根が悪い人ではないから、そう思おうとしたのだろうけれど…
立場が違う。経験も…価値観も…何も、かもが……

父上というのは、戦国時代での父だろう？
でも君は…当時の風習に流されず、仇討ちに走らなかった。君の言動を、前世でも、今世でも、誇りに思うよ」

次の瞬間…戦国時代でのそれが浮かんだ。


否…僕と、ティオナ達…その頭へ伝わってきた。



戦国時代の頃…戦で、父上が殺された。

武家の生まれ故、それは必然。
周囲は挙って仇討ちをすべしと高らかに吹聴した…


だが…


『こんな思いを、味合わせたいのか？』
一つの思いが去来した。

そのことで苦悩した。周りは討てと喚いた。
舞台を整えてもくれた。それでも…できなかった。

逃がした。


喪った苦痛が、殺そうとすると沸き上がる。
消えてはくれない。忘れられもしない。

「っ…」ぶるぷる
歯噛みし、自らを殴打し、涙した。


でも…考えて、考えて、考えた。
考え抜いたその先で見出だした答えに、母は安堵してくれた。

病に伏せ亡くなる間際、言われた。