第26章 再始
「そんな…国木田さんッ……!」
「如何にか助けに行けないかい!?」
探偵社員が一斉に紬の方を見る。
紬は首を横に振った。
「今引き返せば、地上に居たもう一人にやられてしまう。そうなれば犠牲になった彼も浮かばれないのではないかい?」
「「「!」」」
「……。」
紬の言葉にハッとする3人と、無言で聞いている中也。
「一応、部下達にあの周辺を探らせよう。今出来る事と云ったらそれ位しか無い」
「……有難う、太宰の妹」
小さい声で御礼を云う与謝野に、紬は発言通りに無線で指示を飛ばしたのだった。
ヘリの中には重たい空気が流れる。
「間もなく本部に着く。そこからは徒歩で移動して貰うよ」
紬の言葉にコクリと頷く3人。
そうして本部にたどり着くと、黒蜥蜴の一人、広津柳浪が待っていた。
一番に中也がヘリを降り、紬に手を差し出す。
その手を取って紬が降りると、探偵社の三人も続いて降りてきた。
紬に向かって頭を垂れる広津。
「出迎えご苦労様、広津さん。後は手筈通りに頼めるかい?」
「承知した」
そう云うと、三人を引き連れてヘリポートから姿を消した。
それを黙って見送る中也だったが、隣をチラッと見て口を開いた。
「手筈だァ?何だ、最初からこの心算だったッて事かよ」
「『魔人』にしてやられたままじゃ癪だと森さんが駄々こねるからね。ある程度は準備しておいたのだよ」
「そうかよ………で?」
「うん?」
中也の言葉に首を傾げる紬。
「次は如何すンだよ。真逆、あの化物退治に行けなんて云わねェだろーな?」
「流石に其処まではしてやる必要無いでしょ」
「……。」
予想外の返答に少し黙る中也。
嫌な予感が、中也の脳内に過ぎる。そして、この予感は必ず中る。
「中也には、やってもらわなければいけないことがあるからねーそれまでは待機だよ」
ニッコリ笑っていう紬の表情を見て、
嗚呼、碌でもねえ事、させられるな
と瞬時に悟る中也であった。