第26章 再始
「真逆……マフィアに助けられるとはな……」
「助ける?莫迦云え。お宅の社長が首領と取引したんだよ」
中也がそう云うと、紬が続けた。
「救助の対価は『社員一人のマフィア移籍』だ」
「「「「!」」」」
紬の言葉に、探偵社員全員が驚く。
「使いやすい異能犯罪者は大歓迎だぜ」
「社長が……!?」
「いや……でもあの侭だと全員逮捕され与謝野さんも殺されてました。それを思えば……」
谷崎は苦い顔をしながら、そういうと
「その通りだ。理想論ばかりでは命は救えん、現実的にならねば」
「「「!?」」」
一番この提案を否定しそうな国木田があっさりと飲み込んでいることに驚きを隠せない他三名ーーー
「国木田さん……今なんて?」
「頭でも打ったのかねェ」
「本体が切られた所為では?」
「本体……?」
谷崎、与謝野、宮沢のヒソヒソ話にも反応せずに国木田は黙りこんだままだ。
そんな安息の時間も永くは持たなかったーーー
突然、ガンッと音がした。
それと同時にーーー
「え……?」
コポッと小さく水音を奏でて、口から血を流す宮沢賢治。
その身体を、長い剣が貫いていたのだ。
「おいおいマジかよ。何だあの怪物」
さすがの中也も驚いて状況把握のために相手を覗く。
そうしている間に、敵はヘリの機体まで登って足を着いた。
剣を構える敵の様子から、最悪の事を予想する中也。
「拙い!あの怪物野郎ヘリの回転翼をぶった斬る気だ!」
その言葉にギリッと噛み締める国木田。
そしてすぐにーーー
「谷崎、必ず真犯人を暴け」
そういうとヘリのドアを開ける。
「頼んだぞ」
「国木田さん!?」
そういうと国木田は躊躇いなくヘリから飛び降りた。
「無茶するねぇ、彼。敵と相打ちか」
「「「「!?」」」」
この状況下で、一人だけ何時も通りの紬の声に全員がヘリの下を覗き込む。
その直後、
ドォオォオオンーーーー
大きな音ともに、伸ばされていた剣は外れ、ヘリは元のバランスを保ち出す。
「国木田さぁあぁん!!」
谷崎の、国木田の安否を心配する叫び声は、大きな爆発音に飲み込まれた。
「至急、この場から離れ給え」
「はっ」
紬の命令で、ヘリはその場から離れていくのであった。