第24章 連携
「魔人」フョードル・ドストエフスキーの捕獲から2日後ーーー
紬は、とある裏路地に来ていた。
昼間でも薄暗い裏路地。其処に、突然、カッと眩い光が発せられた。
光が収まると、男のものと思われる話し声が聴こえた。
「中りだな」
紬は、そう呟くと声のした方へ歩き出した。
「「!」」
会話していた男が二人、紬に気付いて話をやめた。
「久し振りですね、名探偵」
「……太宰妹か」
「!?」
その片方に挨拶をする紬。
現れた人物に、話し掛けられた名探偵、江戸川乱歩は眉間に皺を寄せた。
その乱歩の顔を見て、話していた男、エドガー・アラン・ポーも焦りの表情を浮かべる。
「そんなに警戒せずとも、取り敢えずは、方が着きましたよ」
「……そう。ならいいや」
乱歩が警戒を一瞬で解く。エドガー・アラン・ポーも乱歩と紬の顔を交互に見ている。
「と、なると目的はこの『本』か」
「ええ。其の通りです。相棒の回収に参上しました」
「!」
状況が読めていなかったエドガー・アラン・ポーだったが、目の前に現れた人物の目的が、自身の書いた小説本と理解した瞬間、カタカタと震えだす。
「ら、乱歩君ッ…、真逆、彼女ッて…、」
「そう。太宰の妹で、ポートマフィアの人間だよ」
「マフィア…!」
ヒィ、と小さな声を上げて、乱歩の背中に隠れる。
それを見て紬はクスクスと笑った。
「何も争いに来たわけではありませんよ。私の目的は名探偵の云った通り、その本の、中也の回収です。嗚呼、でもーーー」
紬がスッと、表情を獰猛な笑みに変える。
「渡していただけないのであれば、此方もそれなりの行動をせねばなりませんがーーー」
「わっ…、渡すのである!だから襲わないでッ」
ササッ、と手に持っていた本を直ぐに紬に差し出すエドガー・アラン・ポー。
それをニッコリとした笑顔に変えて受け取る紬。
それを見た乱歩は、紬の方をジッとみた。
「……。お前、太宰と同じ『異能無効化』の能力者じゃないの?」
「否、見ての通り、違いますよ」
「……。」
質問の意図を正しく理解したのであろう紬は、笑顔を崩さずに乱歩の言葉に返事した。