第24章 連携
紬は、移動していく車の中で、去り際に太宰から渡された?……恐らく、太宰とすれ違う際に入れられたのだろう通信端末を取り出すと、感度を確かめ始めた。
「あーあー。聴こえるかい?芥川君」
『!是』
突然の音に、驚いた、訳でなく、先程まで聴いていた声と似ていて違う声音の指示に、何時も通り様を感じながら、反応を返す通信相手の芥川。
「『魔人』は無事に捕獲された。良くやってくれたね」
『……勿体ないお言葉です』
「早速で悪いのだけど、探偵社が引いた後ーーもう撤退している頃合いだと思うのだけど」
『……。』
既に此方側の把握をしている紬に感じたのはーーー。
今し方、自分と一緒にいた人虎と短い言葉を交わし、別れたばかりの状況を、さもリアルタイムで見ていたかのようなタイミングで声を掛けてきた事に対して、畏れの念を抱きつつも、次の指示を待つ。
「疲れているところ悪いのだけど、本部をもう一度捜索してほしいのだよね」
『目標は』
「その何処かに在る金庫だ」
『承知』
ザッという音共に通信が途切れる。
「金で雇われていた連中だけの巣窟だ。逆に金でしか繋ぎ止める要素がない、となるとーーー」
そう長くない時間、紬は目を閉じる。
「……。」
これからの事を色々と思案しているのだろう。
そうこうしていると、通信機に雑音が入る。
『目標、発見』
「中身を傷付けずに開けられるかい」
『是』
ザシュという音が紬の耳に届く。羅生門が金庫を切り裂いたのだろう。
「中身は」
『札束です。本物かと』
「今から数名送る。その金凡てを指定した場所へ運び給え。その護衛までを任務とする」
『承知』
目的のものが見付かった安堵からか、紬は一息吐くと
「後は中也、か」
窓の外を見ながら、そう呟いたのであった。