第24章 連携
目指していた喫茶処より手前でタクシーを降りた二人。
そして、喫茶処の出入り口に一番近いテラス席を選んで座ると、早速、飲み物を注文する。
注文した品を店員が運んできて、紬が一口、口をつけたタイミングで、目的の人物は動きを見せた。
何かを聴いているな。無線、盗聴の類……否、この状況下なら何らかの合図、か。
紬は、思考を巡らせ、少しだけ周囲を警戒した。
ーーー怪しい動きをする者は居ない。
と、なると、予め決めていた何らかの合図に因って、巣窟の状況把握をしているということだろう。
そうこう考えていると、目的の人物ことーーー「魔人」フョードル・ドストエフスキーが席を立った。
何かを考えている様子の彼だったが、ふと、何かに気が付いたのか視線を『此方側』へとやった。
「やァ」
さすがの彼も驚きの表情をしたところで、
「善い喫茶処だね」
紬は、笑顔で話し掛けた。
「流石に驚いた顔だ。「何故此処が判ったのか」そう訊きたいのだろう?」
驚きの表情を崩さないドストエフスキーに対して紬は続ける。
「実際……極限下の一手だったよ。だがかの『魔人』を欺くには並の手では足りないと判っていた。これが……私の一手だ」
「久しいな《鼠》」
紬に続いて、フィッツジェラルドが声を発する。
凡てを悟ったかのように、ドストエフスキーは目を見開き、笑顔を作った。
「……あぁ素晴らしい。『神の目』ですね……?」
「そうだ。街中の監視映像を統合する無謬の眼。その力で此処を見付け出した。君が潜窟に気を取られている隙にね」
自身も『神の目』について調べてはいた。だからドストエフスキーも『神の目』を既に知っている事に驚きもせずに話す紬。
「力を借りる条件は「君達が掠め取った組合の隠し資産を取り戻す事」」
「手放した金に興味はないが《鼠》に盗まれたままでは小癪でな」
フィッツジェラルドが珈琲を飲みながら会話に混ざる。
その時だった。
「!」
バッ、と武装した集団が、紬達を囲う。
「後は我々が引き受けましょうーーー太宰君」
その武装集団を率いて現れたのは、
異能特務課所属ーーーー坂口安吾だった。