第24章 連携
横濱の街中の、ありとあらゆる監視カメラ映像が大きなディスプレイに表示されている部屋。
紬、フィッツジェラルド、オルコットはその細かい映像を隅から隅まで確認していた。
どれ位の時間が経っただろうかーー
「フィッツジェラルド様っ、あれを!」
「「!」」
声を上げたのはオルコットだった。
指さした先は、とある喫茶処ーーー店内だけでなくテラス席まで用意されている一つの喫茶処に、目的の人物は座っていた。
「有難う、オルコット君。協力に感謝するよ」
「いえ」
紬がそう云い、部屋を後にする。
それに、フィッツジェラルドも付いてきたのだ。
「おや。一緒に来るのかい??」
「ああ、久しぶりに直接挨拶しておこうと思ってな」
フィッツジェラルドの言葉に肩を窄めると、共に歩き出したのだった。
警備会社を出て、直ぐにタクシーを拾い、それに乗り込む二人。
「して、その後はどうする?」
「彼奴を異能特務課に引き渡す」
「もうその算段が整っているのか」
「勿論ーーー」
紬はヘラッと笑って、外套のポケットから通信端末を取り出す。
「今からだよ」
その言葉にフィッツジェラルドは呆れた顔をした。
そんなことお構いなしに紬は通信端末を操作し、耳に当てた。
紬の通信に、相手が応じる。
『何ですか、太宰君。僕は君と違って忙しいんですけど』
「やァ、安吾。息災かい?」
『たった今、工合が悪くなったところです。して、要件は』
溜息混じりにそう答えると、通信相手ーーーこと、坂口安吾は要件を急かした。
「『魔人』の居場所が特定できたーーー今から指定する場所に来てほしい」
付き合いは長い方だ。冗談と本気の声音くらい聴き分けられるのだろう。
『!直ぐに手配します』
安吾が、そう云い終えると同時に通信が切断された。
事がスムーズに運ぶ様を見て、フィッツジェラルドは、太宰は予め、特務課に連絡は取っていたのだろうと推測した。
「矢張り、異能特務課と繋がりがあると何かと便利だな」
「うふふ。君が思っている通りには、そう簡単にはいかないさ」
「…フン」
考えが読み透かされたのが気に入らなかったのか、フィッツジェラルドは持ってきていた新聞をがさりと音を立てながら開いたのだった。